


私は料理好きなので、新婚の頃は喜んで夫のリクエストに応じていました。けれどユマが生まれてからはそうもいかなかったのです。すると生後半年ほど経ったある朝……。夫がポツリと「牛丼が食べたいな〜」とつぶやきました。



ユマのお世話で寝不足だから、本当は私も一緒に横になりたいです。けれど今日は買い物や料理の時間を作らなきゃいけません。私は疲れきった体にむちを打ち、必死で家事をこなしました。夫に喜んでほしいという、その一心で……。



私は自分の睡眠を後回しにして、なんとか時間を捻出して牛丼の材料を買いに行きました。ユマが生まれてから夫のことは二の次だったし、久しぶりのリクエストだから応えてあげようと思ったのです。
でも帰宅してきた夫が食べたいと言ったのはレトルトカレー……。当たり前のように朝とは違うメニューを要求してきた夫にあっけにとられてしまいました。
それなら私、わざわざ買い物に行かなくてもよかったんじゃない? 牛丼を作っている時間、自分の身体を休めることもできたはずだし……。レトルトカレーを美味しそうに食べる夫を見ながら、私は困惑していました。
|
|