
「鳥羽駅から電車動かなくて、どうなるかとハラハラしたけど、 鳥羽観光協会さんのおかげで ホテルの送迎バスで五十鈴川まで送ってもらえて、いつもの時間に自宅に帰れそうです! バスを降りる時、感謝の言葉を伝えましたが、何回言っても足りない!ほんとにほんとにありがとうございました!!」
7月30日にカムチャツカ半島付近で発生した巨大地震により、日本の太平洋沿岸各地で津波警報・注意報が発表されました。それに伴い、航空会社や鉄道会社は運転を見合わせ。外出先からの帰宅に支障をきたした人や予定通りの移動ができない人もいました。
兵庫県に住む、ララさん(@pata___san)もそのひとり。遊びに出かけていた鳥羽市で帰る手段を失い、途方に暮れていたところを、一般社団法人鳥羽市観光協会(以下、鳥羽市観光協会)の機転に助けられました。ララさんに、当時の状況と、鳥羽市観光協会にも詳しい話を聞きました。
電車が止まって不安に…
ラッコが大好きで、鳥羽水族館に頻繁に通っているララさん。30日も早起きして鳥羽水族館へ。
|
|
「館内で可愛いラッコの様子を観察していると、鳥羽市に津波警報が出て、列車が止まっているという情報を聞きました」
水族館を出る夕方頃には、運転が再開されているだろうと考えつつ、その後もこまめに情報をチェック。
15時半を過ぎても運転再開のアナウンスがないため、「この状況が続いて帰れなくなったら、困る!状況がよくわからないから、とにかく鳥羽駅に行かなくては!」と急いで水族館を後にしました。
駅に着いて判明したのは、運転の目処はついていない、3駅先の五十鈴川駅からの電車は動いている、ということ。
「今日は帰れないかも…」「タクシーで五十鈴川駅に向かったとしたら、金額はいくらかかるの?」など不安な気持ちでいろいろな考えをめぐらしていたララさんの前に、救世主が現れました。
|
|
「鳥羽市観光協会の人が、“どこまで行かれますか?バスでお送りしますよ”と、声をかけてくださったのです」
案内されたバス乗り場に行くと、バスは既に到着。ララさんの他に3、4人の乗客がいたそうで、5分くらい待って五十鈴川駅へ出発。予定していた時間には、自宅に帰ることができました。バスを降りる際に、運転手の方に繰り返しお礼の言葉を伝えたそうです。
SNSには、「鳥羽市観光協会の人に助けてもらった」「ホテルのロビーを自由に使わせていただいた」など鳥羽市内でのピンチに助けられた人の声もありました。
ララさんも「私のようなポストをされてる人が何人もおられたので、バスは何往復もされたのでは」と推察。
「何度言ってもお礼を言い足りないです。鳥羽の人のやさしさを感じたし、本当に嬉しかったです」と改めて感謝の思いを言葉にしました。
|
|
とっさの判断で市内の旅館と協力
鳥羽市観光協会は取材に対し、「バスによる駅へのお送りは、とっさの判断です。鳥羽市内の旅館組合と相談し、旅館の送迎バスを活用することにしました」と回答。
鳥羽駅から五十鈴川駅までを数回往復するバスもあったそうです。
「以前から、助け合いの精神で、訪れる人を迎え入れてきました。安心して遊んでいただける観光地域をめざし、ハード面・ソフト面ともに努力を重ねております。ぜひ鳥羽へお越しください」
「お伊勢さん」の愛称で親しまれる伊勢神宮も近い同市は、旅人や客人、困っている人に手を差し伸べる心が息づいているようです。マニュアルで定められているわけではないのに、連携するスピード感、実行力は観光地としての魅力を改めて感じます。
一部地域では、津波警報・注意報の解除が発表されていますが、気象庁は、津波注意報が解除された地域でも今後1日程度は若干の海面変動が続く可能性が高い、と判断。海の中での作業やレジャーには、十分注意するよう呼びかけています。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)