東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた広告最大手「電通グループ」(東京都港区)の控訴審判決で、東京高裁(家令和典裁判長)は31日、罰金3億円とした1審・東京地裁判決(1月)を支持し、電通側の控訴を棄却した。電通元スポーツ事業局長の逸見(へんみ)晃治被告(57)も1審に続き、懲役2年、執行猶予4年の有罪とした。いずれも即日上告した。
談合の対象となる金額の規模が争点だった。1審は検察側の主張を全面的に認め、テスト大会の計画立案業務(約5億円)と本大会の運営業務など(約432億円)の総額約437億円を談合対象とした。弁護側は、受注調整したのはテスト大会の約5億円にとどまると主張していた。
高裁判決は、組織委員会内ではテスト大会は本大会を見据えたものと位置付けられていたとし、テスト大会の受注者が本大会も受注することになっていたとみるのが自然かつ合理的だと判断した。弁護側は談合で主導的な役割を果たしたのは組織委だとして量刑不当も主張したが、高裁は「有利に考慮すべき事情だとは言えない」と退けた。
電通グループは「正当性を改めて主張していく」とのコメントを出した。
判決によると、逸見被告は組織委大会運営局元次長(独禁法違反で有罪確定)や広告・イベント会社の担当者と共謀。2018年2〜7月ごろ、組織委発注のテスト大会の計画立案業務や、本大会の運営業務などで受注調整し、競争を制限した。
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起訴された広告・イベント会社6社のうち、博報堂とセレスポも1、2審とも有罪となり、上告している。【安達恒太郎】
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