
東京・新宿歌舞伎町、歓楽街のど真ん中で、春画約150点が並ぶ異色の展覧会『新宿歌舞伎町春画展―文化でつむぐ「わ」のひととき』が開催されている。
会場は新宿歌舞伎町能舞台で、菱川師宣、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳らが、江戸時代に制作した作品を展示。アートディレクターは林靖高(Chim↑Pom from Smappa!Group)が務め、能舞台や橋掛り、客席を存分に活かして、展示空間をつくり上げた。
会期は9月30日までで、日時指定予約制。18歳未満は入場不可。
同展の企画を手がけたのは、歌舞伎町を拠点にホストクラブ、飲食店、介護事業などの事業を展開するSmappa!Group。本展の中核を成すのは、浦上蒼穹堂代表の浦上満の春画コレクションで、浦上は同展の監修も務めた。
Smappa!Group代表の手塚マキは、歌舞伎町をただ刹那的に遊ぶ場所ではなく、「歌舞伎町から日本文化を創出し、育てていきたい」としたうえで、「春画は『笑い絵』として親しまれ、江戸時代の人々は、みんなで笑い合いながら楽しんでいました。きっとそこに人間のおもしろさやおかしみが凝縮されているからだと感じています」とコメント。
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第二会場はかつてホストクラブとして使われていた空間が活用され、第一会場と比較してポップな作品が展示されていた。ここではオリジナルグッズも販売されていた。
本展ではステートメントして「春画は、人と人との『輪』をつなぎ、『笑い』を生み、心を『和』にさせる、『わ』をつむぐ文化だったのです」「性を描くことは人間を描くこと。人生を描くこと。そして、命を描くこと」と示す。そしてまずはじめに「性は、創造のはじまり」として、イザナギとイザナミを描いた柳川重信の『天野浮橋』(1830年)から展開され、壮大なスタートを切って春画の世界へと誘う。
アートディレクターの林靖高(Chim↑Pom from Smappa!Group)は7月25日に開かれた会見で、「展示の構成では、時代ごとの作品の流れが自然に見えるように工夫し、さらに、来場者が駅から歌舞伎町という街の中を通って会場に向かう動線も意識。駅からラブホテルの前を通って第一会場へ、そこからホストクラブの第二会場へ向かう、そのプロセス自体も展示の一部だと考えている」と説明したという。
歓楽街である歌舞伎町という場所性と、歴史ある能舞台や元ホストクラブだった空間を活かし、春画が人と人とのコミュニケーションとして機能していた側面に着目した本展。
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