関税交渉妥結でチャンス到来! 大統領就任から半年で見えた「トランプ政策でまだまだ上がる株」

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2025年08月22日 08:10  週プレNEWS

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今年1月20日に米国大統領に就任したトランプ氏。任期は2029年1月まで。なお、前回の任期中にはNYダウ平均株価は約5割上昇した。2期目はどうなる?


日米関税が合意に至り、市場は歓迎ムード! 日経平均株価は連日上昇し、史上初の4万3000円台に乗せている。米トランプ大統領に対し、マーケットは「何をするかわからない」と警戒していたが、就任から半年、ようやく"行動原理"が読めてきた!? 今からでも間に合う「トランプ銘柄」をドドンとご紹介! *データはすべて8月13日時点

【写真】注目はトランプの対中政策

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■なぜ史上最高値を更新できた?

7月22日、米国トランプ政権との間で行なわれていた関税協議が合意に至った。

協議内容の評価はさておき、今注目すべきは、関税合意をもってトランプ政権の政策メニューがひと通り明らかになったこと。これで残り3年半の任期中、米国を中心とする世界の秩序と経済が進んでいく方向を、ようやくまともに考えられるようになったのだ。

そのことが、日経平均が連日史上最高値を更新するほどの株式市場の活況にも表れていると、株式アナリストの岡村友哉(ゆうや)氏は解説する。

「日本の株式市場にはふたつの大きな霧がかかっていたので、日経平均4万円の壁をなかなか超えられずにいました。それがここにきて向こう側が見え始め、日経平均は4万3000円を突破しています。

ひとつ目の霧は不安定な国内政治で、石破降ろしが本格化し、より経済フレンドリーな政権が遠からず誕生する目も出てきました。

そしてもうひとつの霧が、米国との関税交渉です。これが合意に至りムードが完全に変わった。正直、日本にとってマイナスしかない結果ですが、大事なのは『どれくらいのマイナスになるかがわかった』ことなのです」

株式市場の主役である大手機関投資家は説明責任を果たさなければならないため、業績への影響が不透明な株を多く保有できない。それが15%という相互関税をベースに、あらゆる業界・企業の業績見通しがようやく立てられるようになった。

ひいては、トランプ政権の手の内がほぼクリアになったことで、世界の投資資金が方向感覚を取り戻し、株式市場になだれ込んだわけだ。

値がさ(1株当たりの価格が高い)の大型株主導で上昇した日経平均だが、まだまだ上昇余地の大きそうな株もあると岡村氏は語る。早速、トランプ政権の恩恵を受けて爆上がりする銘柄を教えてもらおう。

「やっぱり関税合意の日本株に対する影響は特大で、中でも大本命は日本のお家芸である自動車。北米での売上比率が約7割に上る、SUBARUは外せません」

交渉がゴタつく中、投資家の間では一時、自動車への関税が30%になるのではとの噂が流れたという。

これを受けてか、機関投資家は自動車株の持ち高を歴史的低水準に引き下げていたと観測されており、その反動で今後の資金還流による株価上昇が見込めると岡村氏はみている。

「関税が30%なら致命傷だったけど、15%ならマシだよねと。『思ったより悪くない』で爆上がりするのが、株の面白いところです。

そしてもうひとつ、注目なのが暗号資産の支援を鮮明にしたこと。暗号資産の一種であるステーブルコインの普及を促進する法律を成立させ、日常の決済分野での利用促進を図っています。

この分野で日本における先駆者といえば、マネックスグループ。同社は傘下にネット証券大手のマネックス証券と、暗号資産取引所のコインチェックを持ち、コインチェックの預かり資産は1兆円を超えています。アプリダウンロード数も6年連続で国内トップと、その成長性には期待しかありません」

■「対中シフト」に勝機を見いだせ!

株式アナリストの宇野沢茂樹(うのさわ・しげき)氏は、トランプ政権の「対中シフト」に日本株投資の勝機を見いだしている。

「中国封じ込め政策において、日本は真正面で対峙(たいじ)する立場。トランプ政権は日本に対してGDP比3.5%、約20兆円もの防衛費増額を要求したといわれています。この流れを受ける、船舶用のコンパスや航空機のレーダーでトップクラスの東京計器が有望です」


制空権・制海権を確保するために不可欠な機器を製造する同社は、27年まで最高益更新が続く見込み。防衛関連の中核を占める存在で、トランプ銘柄の大本命と言えそうだ。

「防衛関連に加え、製造業の米国回帰の流れにも乗れる日本製鋼所も面白いでしょう。明治から続く火砲システム製造に加え、総合プラスチック機械メーカーとして、米国への拡販が見込めます」

同社はEV用の絶縁フィルム製造装置や小型原子炉の製造も手がける。どちらもトランプ政権が支援を惜しまない分野で、親和性が極めて高い銘柄と言えそうだ。

「台湾有事を見据えて、半導体製造の米国回帰も対中シフトの中核となる政策です。ここで恩恵を受ける存在が、半導体製造現場の搬送システムを手がけるローツェ。米国で工場を建設中の台湾TSMCや、米国の半導体製造装置トップ企業がお得意先であり、追い風は強いでしょう」

国策投資のみならず、米国の民間投資がAI関連で爆発的に行なわれている点も見逃せない。そのすべては半導体増産へと集約されるからだ。

「同社の対米売上高はすでに24年から増加基調にありますが、今後ますます加速していくのは間違いありません」

両氏が挙げてくれたトランプ政権の政策テーマは、上記以外にも造船、米国利下げ、製造業復活、エネルギー関連、米国好景気と多岐にわたる。これらの関連銘柄を下記にまとめたので、参照してほしい。トランプよろしく、われわれも株式の"ディール"で儲けるとしよう!

★岡村氏が挙げたトランプ銘柄

●SUBARU(7270) P/輸送用機器 
《最低購入価格》30万1300円 
《配当利回り》3.82% 
レガシィやインプレッサ、フォレスターなどの車種が人気で、水平対向エンジンや4WD、安全技術に強みを持つ。国内自動車メーカーの中でも米国での売上比率が高い

●竹内製作所(6432) P/機械 
《最低購入価格》55万円 
《配当利回り》3.64% 
住宅基礎工事、インフラ工事、造園工事などに使用される小型建設機械の専門メーカー。世界で初めて小型ショベルを開発したことで知られる。海外売上比率はなんと99%!

●クボタ(6326) P/機械 
《最低購入価格》17万9100円 
《配当利回り》2.79% 
農業機械・建設機械・水道管の総合メーカーで、特に農機と水道管ではシェア・売上高共に国内トップの上、世界有数の存在でもある。海外売上比率は約8割に達する

●マネックスグループ(8698) P/証券・商品先物取引業 
《最低購入価格》7万3800円 
《配当利回り》4.12% 
国内第3位のマネックス証券(NTTドコモとの共同出資会社)、暗号資産取引サービスのコインチェック、資産運用会社などを傘下に置く。特に後二者が成長著しく期待がかかる

●名村造船所(7014) S/輸送用機器 
《最低購入価格》32万6000円 
《配当利回り》1.23% 
造船業の準大手で、中大型船が主力。日本の造船業は中韓に押されシェアを落としてきたが、この先年間1.7兆円もの米国艦艇の修繕需要が日本に流れ込めば、恩恵は大きい

●中国塗料(4617) P/化学 
《最低購入価格》33万3000円 
《配当利回り》2.91% 
塗料メーカーで国内第3位だが、船舶用は国内シェア6割を占め世界第2位だ。世界20ヵ国で拠点を展開するグローバル企業で、近年成長中の修繕需要がさらに加速しそう

●エムスリー(2413) P/サービス業 
《最低購入価格》22万円 
《配当利回り》――― 
医療従事者向けの情報サイトを運営。株価はコロナ禍に急上昇するも、一時8割減の大暴落を見せた。しかし今年に入って業績回復期待から上昇中

★宇野沢氏が挙げたトランプ銘柄

●日本製鋼所(5631) P/機械 
《最低購入価格》96万2200円 
《配当利回り》0.91% 
三井グループに属し、プラスチックなどの樹脂機械メーカーとして世界有数の地位を確立。EV製造に欠かせない絶縁フィルム製造装置では世界シェア80%を誇る

●東京計器(7721) P/精密機器 
《最低購入価格》46万500円 
《配当利回り》0.87% 
船用航海計器が主力で、商業船向けジャイロコンパスや自動操舵装置で世界シェア6割以上を占める。航空機用レーダー警戒装置や艦艇向け航法装置など防衛機器事業も急成長中

●ローツェ(6323) P/機械 
《最低購入価格》19万1950円 
《配当利回り》0.89% 
半導体の基板となるシリコンウエハーやガラス基板を製造現場で搬送する装置を製造。台湾TSMCや米国の半導体製造トップ企業を主要顧客に持ち、海外売上比率は90%に達する

●QPS研究所(5595) G/情報・通信業 
《最低購入価格》19万5900円 
《配当利回り》――― 
九州大学発の人工衛星ベンチャー。高精細小型レーダーを用いた観測衛星で撮影した画像データを販売。防衛省の衛星プロジェクト需要から黒字転換を見込む

●オークマ(6103)P/機械 
《最低購入価格》37万4000円 
《配当利回り》2.67% 
愛知・岐阜を拠点とする工作機械大手。自動工具交換機能を備え、複数の切削加工を行なえる「マシニングセンタ」では国内トップ級。対米売り上げは30%を占める

●積水化学工業(4204) P/化学 
《最低購入価格》27万3900円 
《配当利回り》2.92% 
住宅事業と高機能プラスチック製造が主力。自動車と半導体向けのプラスチック好調を追い風に、新事業「ペロブスカイト太陽電池」の本格化に向けて投資を進める

●三菱HCキャピタル(8593) P/その他金融業 
《最低購入価格》11万9300円 
《配当利回り》3.77% 
米国での航空機・貨車・コンテナ・トラックなどのリース事業で収益拡大中。M&Aで海外展開を加速させ過去最高益を達成。26期連続増配中と、株主還元の意識は折り紙付き!

●大和工業(5444) P/鉄鋼 
《最低購入価格》90万8200円 
《配当利回り》4.40% 
鉄スクラップから鋼を製造する電炉の大手で、米鉄鋼大手ニューコアとの合弁で北米に収益基盤を持つ。トランプ政権のインフラ投資促進による鋼材需要増加の恩恵が見込める

※業種の前のアルファベットはP=プライム市場  S=スタンダード市場  G=グロース市場に上場していることを示す

取材・文/日野秀規 写真/時事通信社

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