画像提供:マイナビニュース●3扉ロングシートのディーゼルハイブリッド式気動車に JR東日本高崎支社は22日、八高線へ2025年度下期の投入を予定している新型車両「HB-E220系」の報道公開を実施した。高崎エリアのHB-E220系は2両編成(HB-E221形・HB-E222形)を8編成、計16両を新造。八高線の非電化区間を含む高麗川〜高崎間に投入される。
新型車両HB-E220系(HB-E220形、HB-E221形・HB-E222形)は、高崎エリアの八高線と盛岡エリアの東北本線・釜石線(盛岡〜花巻〜釜石間)で2025年度下期から投入予定のディーゼルハイブリッド式気動車。盛岡エリアは1両で運行可能な両運転台のHB-E220形も投入されるが、高崎エリアの投入車両は2両編成・片運転台のHB-E221形・HB-E222形とされている。
今回、報道関係者らに公開されたHB-E220系は高崎方から「HB-E221-7」「HB-E222-7」の2両編成。ステンレス製車体で全長20.6m・車体幅2.80m・全高3.64mとのこと。
これまで八高線の非電化区間で活躍していたキハ110系は片側2扉だったが、HB-E220系は片側3扉に。車体前面・側面の窓下に、JR東日本のコーポレートカラーであるグリーンに、もうひと段階明るいグリーンを加えた2色のラインを配置している。安定感や信頼感といった印象を利用者に持ってもらえるようなデザインをめざしたという。
定員は2両合計で243人(HB-E221形は117人、HB-E222形は126人)。車内の座席はすべてロングシートとし、一般座席はグリーン、優先席はピンク系で配色した。車いす・ベビーカー利用者に向けたフリースペースに加え、高崎方の車両(HB-E221-7)に電動車いす対応の洋式トイレも設置。安全対策として、各車両の客室に防犯カメラと非常通話装置を設けた。
川崎車両がHB-E220系の製造を担当しており、車体前面のデザインなど、同じ川崎車両が手がけたGV-E400系に準じた外観となっているが、両形式の駆動システムは異なる。
HB-E220系はディーゼルハイブリッド式の駆動システムを採用。ディーゼルエンジン発電機と蓄電池という2種類の動力源を単独または組み合わせることにより、電車と同様に主変換装置でモーターを駆動し、動力を発生させる。JR東日本はこれまで、小海線のキハE200形、「リゾートしらかみ」などの観光列車で活躍するHB-E300系、仙石東北ラインのHB-E210系といった車両でディーゼルハイブリッド式を採用しており、HB-E220系もこれらに続く車両となる。一方、電気式気動車として製造されたGV-E400系は、蓄電池を搭載しておらず、ディーゼルエンジン発電機からの電力をもとに主変換装置でモーターを駆動する。
ただし、ディーゼルハイブリッド式気動車も電気式気動車も、既存の液体式気動車(キハ110系、キハ100系など)に特有の部品を削減し、電車と同様の機器を採用することでメンテナンス性の向上を図るという点で共通している。HB-E220系においても、環境対策として排気中の窒素酸化物(NOx)、黒煙などの粒子状物質(PM)を低減するエンジンを搭載。最高速度は既存のキハ110系と同じ(100km/h)だが、環境への負荷をより低減した車両となった。●八高線のHB-E220系、車内・外観など写真を一挙公開! 報道公開で取材に応じたJR東日本高崎支社鉄道事業部モビリティ・サービスユニットのユニットリーダー、大場貴広氏も、挨拶の中で「この新しいハイブリッド車両は、これまでの車両と比べても環境性能に優れており、安全性・利便性・快適性も向上した車両となります。新しい八高線の顔として、ぜひ多くのお客様にご利用いただきたい」とコメント。バリアフリーにも力を入れているとのことで、「電動車いすのお客様にもご利用いただけるような広めのトイレを設置し、フリースペースも多めで、車いすやベビーカーのお客様にも快適にご利用いただけるような設計になっています」と説明した。
既存のキハ110系は車内にボックスシートを設けていたため、鉄道旅行を楽しむ上では比較的快適な車両といえた。一方で片側2扉ゆえに、朝夕の通勤・通学時間帯をはじめ、混雑時のスムーズな乗降に課題があったことは否めない。新たに投入するHB-E220系はオールロングシート・片側3扉としたことで、「車内のスペースも広くなって、よりスムーズに乗降りできる設計になっています」と大場氏。準備ができ次第、HB-E220系を投入し、2025年度中に八高線非電化区間のキハ110系をすべて置き換える予定とのことだった。(MN 鉄道ニュース編集部)