厚生労働省や環境省が入る中央合同庁舎第5号館=東京都千代田区 がん治療目的で遺伝子組み換え技術を使った製剤を国の承認を得ずに投与したとして、厚生労働省と環境省は22日、「医療法人社団DAP北青山D.CLINIC」(東京都渋谷区)に対し、遺伝子組み換え生物規制法(カルタヘナ法)に基づく措置命令を出したと発表した。
クリニックは、がん細胞の増殖に関わるたんぱく質の働きを抑えられるとして、遺伝子を改変したウイルスベクター(遺伝子の運び役)を使った製剤を2009年から患者に投与していた。こうした製剤を体内に入れる行為は体外への排出による環境への影響が懸念されるため、カルタヘナ法は国が事前に安全性を審査し承認すると定めている。
措置命令では、法令順守の徹底と保有する製剤の廃棄などを求めた。厚労省によると、この治療法については有効性や安全性を裏付ける科学的根拠は確認されていないという。