
【写真】『あんぱん』のぶの幼少期を演じた永瀬ゆずながルビッチ役 新キャラクター・モフのぬいぐるみも登場
2020年に公開され、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞、コロナ禍にも関わらず興行収入27億円、観客動員196万人を記録し、さらに、海外の30以上の映画祭から招待を受けるなど高い評価を獲得したオリジナルアニメーション『映画 えんとつ町のプペル』。映画公開後もミュージカル、歌舞伎、バレエなど多方面に展開され、作品の世界観は今もなお広がり続けている。
そしてこのたび『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』の公開が発表に。2016年に発売された絵本『えんとつ町のプペル』の原作者・西野亮廣が、今回も製作総指揮・原作・脚本を担当。2019年に発売された絵本『チックタック 約束の時計台』(にしのあきひろ著)を原案に、大幅なスケールアップをして映画化に臨む。
アニメーション制作は、圧倒的なクリエーションと独自の世界観で知られるSTUDIO4℃が再び担当。前作に引き続き監督を廣田裕介が務め、さらなる進化を遂げた映像表現で観客を魅了する。
会見で『えんとつ町のプペル』の世界観に包まれた舞台で、ルビッチが描かれた紫のTシャツを身にまとった西野。「本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。お金に目がくらんだスタッフから、いま着ているピチピチのルビッチTシャツを着させられまして、非常にシビアな状況でステージに立っています。恐らく、日本エンタメ史上最後となる“ピチT”での記者会見となりますが、頑張ります。宜しくお願いします!」と、観客の笑いを誘いながら喜びのコメントを。
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興行収入27億円の大ヒットを記録した前作『映画 えんとつ町のプペル』から4年半の歳月が経った心境を聞かれると、西野は「『映画 えんとつ町のプペル』の公開前と後では、僕個人の活動も規模やお客さんの層が変わり、子どもからおじいちゃん・おばあちゃんまで幅広い層の方に来ていただけるようになりました。芸能界の中だと、お笑い芸人たちがプペルをいじったりと、コミュニケーションツールにもなりつつあります」と前作の反響の大きさを明かした。
そして「僕自身、こういった作品をつくりながら裏では芸人として表では口に出せないような芸もしているので、非常に混乱しています。」とジョーク混じりに複雑な心境を語る。さらに、「映画公開後に歌舞伎やバレエ、ミュージカル等といった展開に繋がったのは非常に面白いなと感じています」と振り返った。
廣田も「4年半と聞くと、長いように感じますが、前作をたくさんの方に観ていただき、取材や国内外での映画祭での受賞、その1年後にはハロウィンのタイミングで再上映されたりと、公開後も息長く続いていたことから、4年半があっという間に感じました」と、前作公開後もプペルが身近にあったことと同時に、焦りも感じていることを明かした。
そして田中は、「私も“プップップペル♪”と、あの印象的な歌がずっと心や頭の中で流れているんです。プペル前作で約30億円近い興行記録を残せたことで評価をいただけたので、嬉しいなと感じています」と、改めて当時の反響の大きさに感慨した。
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「今でこそ失踪事件は笑い話になっていますが、その頃に僕1人で活動する選択肢もあった中、梶原くんが戻ってくる場所が無いのは寂しいなと感じ、“待つ”ことを決めました。やっぱり、2人で話したり漫才している時間が楽しかったんですよね。1人での活動も一切やめて待っていた中、梶原くんのお母さんが『西野くんが待ってるよ』と伝えてくれたんです。それをきっかけに戻ってきてくれたのですが、その経験から“相手を信じる”ことが僕自身の大きな挑戦となり、今回のテーマにもなりました。きっと、子育てしている親御さんも共感する部分が多いのではないかと思っています」と、本作に込めた伝えたいテーマを露わにした。
前作からの変化や意識した点について、廣田は「前作に引き続き監督を務められることは光栄でありがたいなと感じています。前作をたくさんの方に観ていただき、大きな反響をいただいたからこそ、逆に壁となって立ちはだかるのですが、それを乗り越えなければいけないという気持ちとモチベーションで、今作にもチャレンジしています」と意気込みを語った。
そして、自身が設立したSTUDIO4℃の最新作『ChaO(チャオ)』がアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞を受賞したことに触れられながら、今作への期待が高まっていることを受けた田中は「もちろん、プペルもクオリティを担保しようと思い頑張っています。前作では、100本・200本のえんとつと煙をボロボロになりながら描いていたんです。でも、空は晴れましたからね! 今作ではそれが無い!と喜んでいたら、何ですか…あの登場するキャラの多さは!!」と、西野に不満を。「前作では、フル3Dでキャラを描くというSTUDIO4℃としても初めてのチャレンジをして、プペル2ということは、今作でもその3Dモデルのキャラを活用できる!楽できるぞ!と思っていたら、キャラクターの多さと10ヵ所以上の新たな場所に冒険するなんて…」と、西野に公開説教をしながら観客の笑いを誘い、今作への期待をあおった。
■朝ドラ『あんぱん』のぶの幼少期を演じた永瀬ゆずながルビッチに!
本会見では、主役である「ルビッチ」の声を務める声優も発表された。西野からの発表でルビッチの声優が永瀬ゆずなであることが明かされると、永瀬が下手舞台袖より登壇し、「永瀬ゆずなです。ルビッチ役を務めさせていただきます。宜しくお願いします!」と、緊張の面持ちであいさつ。永瀬は、現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』の主人公・暢の子ども時代を演じ、その圧巻な表現力で話題を呼んだいま大注目の子役だ。
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西野も、永瀬に決めた理由を「前作では芦田愛菜さんにルビッチを演じていただいていたので、その芦田さんの後ってかなりプレッシャーだと思いますし、スタッフ側も大きな挑戦でした。芦田さんを越える人が出てくるのか…という不安もある中、永瀬さんにオーディションに来てもらった時の第一声を聞いて、“もうルビッチじゃん。”となりまして」と、永瀬との出会いに感動。「瞬発力・対応力も抜群で、その場にいたスタッフ全員が満場一致で“ルビッチ見つけた!”という気持ちでゆずなちゃんに決めましたし、オーディションが終わった2〜3分後には、ゆずなちゃんのマネージャーに連絡を入れていました」と、決定の経緯を明かした。
廣田も「演技力は折り紙つきですし、今回のルビッチは子どもらしい無邪気さも必要で。ゆずなちゃんが勇気をもって、セリフ1つ1つに毎回チャレンジしている姿勢を感じ、“これはもうルビッチだな”と思いました。アフレコが終わった時に、ゆずなちゃんにルビッチ役を演じてもらえて心からよかったなと、感じています」と感謝。田中は、「西野さんも廣田監督も、ゆっくりと話しながらも、パキパキと指示を出すんですよね。正直、10歳のゆずなちゃんにはこんな難しい注文は分からないよな。と思っていたんです。でも、ゆずなちゃんは、“はい、分かりました!”っと言って、実現しているんです。見事に応えて演じている姿を見て、本当にすごいな。と、感動しました」と評価。一同が絶賛・満場一致の中で、永瀬は新たなルビッチ役を勝ち取った。
そんな各人からの言葉を受けた永瀬は、恐縮しながらもルビッチを演じるにあたり「私が演じる時は、1つ問題を乗り越えて成長した、新しいルビッチをつくれたら良いな、と思って演じました」とコメント。難しかった点を問われると、「私がまだ10年しか生きていないので、言葉数が足りないところもあると思うんです。でも、ルビッチの気持ちになると心情をイメージすることが出来たので、それを意識しました!」と役作りについてのポイントを語った。
そして、話題は今作で登場する新キャラクターに。登壇者と一緒に登場し、永瀬の横に置かれたぬいぐるみ・モフは、今作でルビッチの相棒となるキャラクターだ。西野は、「ルビッチはプペルを待っていても、いつ帰ってくるか分からないので、今回の冒険舞台ともなる千年砦を旅する新たな相棒として、モフと出会います」と、モフが今作での注目キャラクターであることを明かした。
いよいよ終盤となり、公開を心待ちにしている観客へのメッセージを求められると、西野は「日本映画が1つの転換期を迎えているんじゃないかな、と思っています。映像配信ツールが溢れる中で、いま若い人達が映画館に足を運んでいる流れがある。しっかりその流れに乗っかれるように、頑張りたいと思います。“待つ”“大切な人を信じる”ということをテーマにした物語を描きました。ぜひ、楽しみに待っていていただけたらと思います」と呼びかけ、作品への期待値がより一層高まった会見となった。
『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』は、2026年春全国公開。