エスティ ローダー社25年通期は赤字に 全カテゴリ・地域で減収

0

2025年08月22日 19:51  Fashionsnap.com

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Fashionsnap.com


エスティ ローダー カンパニーズのコーポレートサイトより


 エスティ ローダー カンパニーズ(ESTĒE LAUDER COMPANIES)の2025年6月期(2024年7月〜2025年6月)決算は、売上高が前期比8%減の143億2600万ドル(約2兆1202億円)、営業損益が7億8500万ドル(約1161億8000万円)の赤字(前期は9億7000万ドル<約1435億6000万円>の黒字)、純損益は11億4400万ドル(約1693億1200万円)の赤字(前期は3億9200万ドル<約1693億1200万円>の黒字)だった。

 営業損失の主な要因は、のれんおよび無形資産の減損損失8億1500万ドル(約1兆2062億円)、リストラ関連費用3億6200万ドル(約5358億円)、タルク訴訟和解金1億5900万ドル(約2353億円)などの特別損失が計上されたため。調整後の営業利益は同28%減の11億4600万ドル(約1兆6968億円)だった。さらに同社は、業績悪化の要因について、中国の消費意欲低迷やアジア地域の免税事業における厳しい環境、小売市場全体の軟調さを挙げている。
 カテゴリー別の売上高は、スキンケアが同12%減の69億6200万ドル(約10兆3042億円)。「エスティ ローダー(ESTĒE LAUDER)」と「ラ•メール(LA MER)」が、アジアのトラベルリテール事業における中国消費者の需要低迷などにより不振だった。一方で「オーディナリー(The Ordinary)」は、アメリカにおけるAmazonでの取り扱い開始などによる消費者層の拡大により、1桁台半ばの成長を記録した。メイクアップは、同5%減の42億500万ドル(6兆2234億円)だった。「M·A·C(メイクアップ アート コスメティックス)」は、昨年10月にリニューアルした「マキシマル スリーク サテン リップスティック」が好調だったが、小売環境の軟化と在庫調整に伴い、売上が減少。エスティ ローダー や「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」、「トゥー フェイスド(Too Faced)」が不調だった中、「クリニーク(CLINIQUE)」は全地域で成長。ベースメイクとリップ商品が奏功し、他ブランドの減少を一部相殺した。フレグランスは、売上高が同0.1%増の24億9100万ドル(約3兆6867億円)で横ばい。新作フレグランスを発売した「ル ラボ(LE LABO)」と、「キリアン パリ(KILIAN PARIS)」が2桁成長を遂げ、ラグジュアリーフレグランスが好調だったが、北米でのブランド小売販売が不調だった「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」の落ち込みにより相殺された。ヘアケアは、売上高は同10%減の5億6500万ドル(約8362億円)だった。「アヴェダ(AVEDA)」が実店舗チャネルでの不振と直営店クローズにより売上を落としたことが主な要因となった。
 地域別の売上高は、アメリカ大陸が同4%減の44億1100万ドル(約6兆5278億円)。北米での一部ブランドの小売軟化や消費者心理の低迷が響いたが、Amazonでのブランド展開拡大が一部中和された。欧州・中東・アフリカ地域は、主にアジア地域のトラベルリテール事業における中国人消費者の需要減退で、同12%減の53億7500万ドル(約7兆9550億円)。アジア太平洋地域も、中国本土における厳しい小売環境と消費者心理の低迷により、同7%減の45億3700万ドル(約6兆7148億円)だった。
 2026年通期予想は、0〜3%の有機的成長を見込む。黒字回復に向けて、小売業における在庫管理と大幅な割引削減といった施策を実施。中国本土における消費やトラベルリテール事業の回復予想も反映した。同社は消費者向け投資を売上高比で約400ベーシスポイント増加させ、利益回復・成長計画(PRGP)により非消費者向けコストを6%削減するなどの投資も予定している。ステファン・ドゥ・ラ・ファヴリエ(Stéphane de La Faverie)社長兼CEOは「3年間の売上減少を経て、2026年度は有機的売上成長の回復と営業収益性の再構築に向けた展望に自信を持っている」と述べ、2026年度の業績回復への意欲を示した。
1ドル=148円

    ニュース設定