
(左から)亀山満さん、笹川友里
亀山満さんは東北大学工学部卒業後、日産自動車を経て、資生堂CITO(最高情報責任者)、三菱マテリアル、CDO(最高デジタル責任者)を歴任。歴史ある企業の経営改革、グローバル化、イノベーションをCIO・CDOの立場でリードしてきた経験を持ちます。2025年4月には、協和キリン株式会社CDXO(最高DX責任者)に就任しました。
◆“対話”を通じて課題を発見
協和キリンに入社してまだ約半年という亀山さんですが、すでに多くの取り組みを進めており、そのなかで始めにおこなったのが“社員との対話”だと言います。経営トップから現場の担当者、工場、研究所など、毎日何十人もの社員と顔を合わせ、課題や悩みを直接聞いていったそうで、「最初の3ヵ月は製薬業界を理解し、協和キリンという企業をしっかり分析することで、なぜ私たちがこの方向へ進んでいくのかを突き詰めることから始めました」と振り返ります。
そこで、笹川が「その結果、見つかった一番の課題はどんなものだったのでしょうか?」と尋ねると、亀山さんは“もったいない”というキーワードを挙げます。例えば、現在も研究所や工場をはじめ各部門、各地域でいろいろなデジタルの取り組みがおこなわれていますが、「実は(その取り組みが)部門が違うと周りから見えていなかったりするのがもったいないなと。そこがもし“見える化”できれば、お互いの知見を活かし合えますし、クロスファンションの活動としてつなげていくことでもっと大きな成果を生み出すことができる」と推測します。“もったいない”は課題ではありますが、大きなポテンシャルと捉えています。
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◆「DX人材の可視化」に注力
現代の製薬業界において欠かせないのが、薬に関する専門知識とデジタルスキルの双方を持つ「バイオDX人材」の存在です。「ビジネスの専門知識を持ち、しかもデジタルを使いこなせる人材は、日本だけでなく世界中で求められています」と亀山さん。とはいえ、そうした人材は非常に少なく、協和キリンでも社内教育を通じて専門知識とデジタルスキルの双方を伸ばす取り組みがおこなわれています。
また、そういう人材は“成長”に対する意識が凄く高いとし、「もし面白い仕事がなかったら別の会社に行ってしまうかもしれない。だから、もっとチャレンジングな仕事ができる環境を整えていかなければならないし、その姿を社内外に見せていけば、他の方が“協和キリンではすごく面白いチャレンジができるんだ”と興味を持ってくれると思います。こういう好循環が生まれてくることがとても大事だと思うので、“DX人材の可視化”ということも大きなテーマにしています」と言及します。
さらに、亀山さんが力を入れているのが“トランスフォーメーション人材の育成”です。「課題を俯瞰して適切に捉え、To Beをしっかり描き、そこからバックキャストしてやるべきことを設定し、いろんな方とストーリーでコミュニケーションしながら、アクションを定め、スピーディーにトライしていく。そのチャレンジ過程で失敗があっても、それを糧にすぐ再挑戦していく。そうしたトランスフォーメーションリーダーシップを身に付けた人材を、僕らはDXの実行を通じて育てたいと思っています」と力を込めます。
◆AIは“人の可能性を高められるもの”
最後に、亀山さんが思い描く“近未来のビジョン”について伺うと、まずAIの進化について「AIは人の仕事を奪うのではなく“人の可能性を高められるもの”として捉えていて、そこにワクワクしています」と考えを示します。
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そして、デジタル技術の活用が進むことで、病気と向き合う人に笑顔を届けられ、人々の生活がもっと豊かになることを想像し、「デジタル・テクノロジーが、どんどん未来を“夢の世界”に近づけてくれる。これがすごく面白いところだなと思っています」と話していました。
次回8月23日(土)の放送は、パーソルホールディングス株式会社 執行役員 CIO/CDO の柘植悠太(つげ・ゆうた)さんをゲストに迎えてお届けします。人材業界をリードするパーソルグループのDXの取り組みなど、貴重な話が聴けるかも!?
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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