試合後、浦和サポーターのもとへ楠瀬監督、猶本ともに挨拶へ行った塩越は涙 [写真]=須田康暉 SOMPO WEリーグ第3節が24日に行われ、日テレ・東京ヴェルディベレーザと三菱重工浦和レッズレディースが対戦。アウェーゲームに臨んだ浦和が開始早々の丹野凜々香の得点で1−0で勝利。連勝を飾った。
敗れた東京NBだが、今季から加入してトップ下でフル出場した塩越柚歩にとって、下部組織時代含めて一筋で過ごした古巣・浦和との直接対決は自身初の経験に。試合では推進力ある持ち前のプレーも見せたが、勝利に導くことはできなかった。試合後、浦和サポーターに挨拶をする場面で涙を流していたが、取材エリアでも感情が抑えられない姿も見せ、「(負けた)悔しさはもちろんありますけど、レッズサポーターの方はみんなあったかいというのは感じましたし、こうやって取材してくれる方の顔も懐かしいなというか。いろんな感情が…」と声を詰まらせる。
浦和のアンカーの位置に入った角田楓佳の徹底マークを受けるなど、特に警戒されていたが、「前半が開かないフォーメーションだった中で、なかなか修正しきれなくて。後半になったら空いてきたので、1対1になると負けるのは分かっているから、ガン(と来られる)というタイミングを作らせない立ち位置で受けようとか、間で受けて散らそうとは意識はしていました。ゴール前に迫る力が足りなかったと思います」と、自分もよく知る浦和の堅い守備を崩しきれなかったことへの反省を口にし、開幕戦のINAC神戸レオネッサ戦に続く敗戦で、開幕1勝2敗となったことについても、「組織やコンビネーションは、まだまだこれからのチームだとは感じていますし、今日みたいに強度が高い相手だと、自分たちの良さが出せないところが、チームの課題」と、昨季の優勝争いをした2チーム相手に敗戦した内容を振り返っている。
試合中、浦和サポーターからは塩越がボールを持つたびにブーイングの声が挙がる一方、楠瀬直木監督、猶本光とともに挨拶に行った際は、温かい声もかけられた。もちろん、東京NBのサポーターからも塩越へは大きな声援が飛んだ。「ベレーザサポーターは、自分に対しての声は特別大きくしてくれているんじゃないかというのも感じるぐらいにすごく聞こえてきましたし、レッズポーターの声に関しては、長年聞いていた声だったので、それがプレッシャーというよりかは、いつも聞いていた馴染みある声というか、逆に自分のパワーになるみところもありました。試合に入り込んでいたので、そこまで真に受けることはなかったですけど、レッズサポーターの声は大きいものだなと思いました。でも愛のある声だと思うのでありがたいですね」と、笑顔も見せつつ、答えている。
昨季途中で浦和の監督を解任され、今季から東京NBを率いている楠瀬監督、そして塩越とともに浦和から加入した猶本と、オフにも話題を呼んだ覇権を争う両チームによる対戦だったが、「WEリーグが盛り上がることはうれしいですし、自分自身は移籍をして、もっとやらなければいけないと感じさせられた試合でした。こうやって盛り上がる大一番みたいな試合がもっと増えていけばいいと思いました。自分がもう一回り大きくなって、チームを助けられる存在にならなければいけないと感じました」と、東京NBのWEリーグ連覇のために、個人、チームとしてさらに成長しないといけないと強調している。