<ヤクルト1−8阪神>◇24日◇神宮
リベンジに燃える阪神才木浩人投手(26)の眼光は鋭かった。2点リードの6回1死、ヤクルト4番村上を変化球で追い込み、最後は151キロ直球を内角にズバッと決めて空振り三振に仕留めた。4回の前打席は初球を左中間スタンドに運ばれていた。「あの真っすぐは、簡単にピッていっちゃった。さすがにやっぱり見逃してくれなくて。その後、しっかり打ち取れたんで良かったと思います」。自慢の武器で負けるわけにはいかなかった。
「真っすぐが結構いい感覚でしたし、スライダーをうまく使いながら」。カウント球に決め球に、威力抜群の直球でヤクルト打線を押し込んだ。8回途中4安打1失点、118球の力投。自身5連勝でリーグトップタイの12勝目を挙げた。バットを持っても、6回2死満塁で押し出し四球を選んで3点目。ヒーローインタビューでは「これ打ったらオレ格好いいなと思って」と笑わせた直後に「手が出ませんでした」と苦笑い。再び場内を沸かせた。
そのお立ち台では「頑張ろうかなと思ってました」と4度も繰り返した。学生時代から明るく努力家な性格は変わらない。須磨翔風高2年時まで、阪神スカウトの評価は「指名は難しい」だった。当時担当スカウトだった熊野輝光氏は「投げ方がアーム式だった。厳しいかなと思っていたけど、一冬超えて劇的に変わった。ものすごく練習したみたい」と振り返る。
そんな姿勢が“あだ”となったこともあった。ドラフト3位で指名された直後から気合を入れて猛練習。「いろいろ考えてやる性格だから、なぜかまたアーム式に戻っていて…」。春季キャンプで目にした熊野氏は一瞬冷や汗をかくも、そこから一緒に再びフォーム固め。バドミントンのラケットも使いながら試行錯誤し、形を作った。
|
|
タテジマの35番を球界屈指の投手番号に成長させたのは、紛れもなく才木の努力。12勝と防御率1・54は現在トップで、勝率も含めた3冠も射程圏内。「頑張ろうかなと思います」。再びニヤリと笑った。【磯綾乃】
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。