
8月25日、アメリカの大手動画配信会社ネットフリックスが、来年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)の日本独占放映権を獲得したことが明らかになった。
深刻な“放映権”問題
「日本国内では、ネットフリックスがWBCの全試合を独占で配信する見通しで、地上波では見られなくなるそうです。日本が優勝した前回大会は、地上波放送と『アマゾンプライムビデオ』の配信で中継。
日本の全7試合はいずれも地上波での平均世帯視聴率が40%を超えるなど、国民から多くの関心が寄せられていただけに、今回のネットフリックスの独占配信には様々な意見が飛び交っている状況です」(スポーツ紙記者)
ネットフリックスの独占配信を受け、WBCを運営するWBCIとともに東京で行われる第1次ラウンドの主催者・読売新聞は、
《本大会では、WBCIが当社を通さずに直接Netflixに対し、東京プールを含む全試合について、日本国内での放送・配信権を付与しました》
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などと声明を発表している。
一連の報道を受け、ネット上では、
《有料となると値段が高い安い関係なく大きなハードルになる》
《ライト層をあまりにも無視し続けるのは、競技人口も減っていずれ衰退への道をたどると思う》
《野球の普及、という面から見ると痛い。無料と有料にはすごく高い壁がある》
《野球の普及というWBCの目的そのものを根幹から覆す決定ですね》
と、否定的なコメントが多く見られる一方で、
《時代の変化でしょう。みんなが見たがるコンテンツには高値がついて当然》
《たかが900円も払えない貧民がワラワラよっぽど馬鹿か情弱か》
《2ヶ月間、3000円くらい、見たければ払いましょうよ。それだけのこと》
《本当に見たいなら900円くらい払えよ》
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など、賛否が分かれている状況だ。
「ネットフリックスの契約形態は3つあり、最安値は月額890円のもの。このプランには動画視聴中に広告が付いてしまいますが、国内外の映画やドラマ、アニメを見ることができますし、この価格は良心的なのでは。
たしかに、野球の“普及”という面では、ライト層にも届けられる地上波放送の方が好ましいのでしょうが、興行的な側面も重要なことは確か。ネットフリックスの独占配信が決まった以上、それに従うしかないですね」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
昨今、スポーツの生中継はネットフリックスなどの動画配信サービスを通じて行われるケースが多くなっている。
「2026年に行われるサッカー・ワールドカップのアジア最終予選のアウェー戦は全試合地上波放送がなく、『DAZN』による配信のみ。しかも『DAZN』で代表戦を見るには、月額4200円のプランに加入する必要があったのです。
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今回のWBCだけでなく、各スポーツの放映権獲得にどれだけお金を積めるかは重要な指針で、その点では莫大な資金力を持つ動画配信プラットフォームに奪われつつある状況です。放映権が高騰を続ける中、反比例するようにテレビの需要は年々減っています。地上波中継は衰退の一途を辿っていくかもしれません」
時代とともに変化していくスポーツ中継の在り方。多くのスポーツを地上波で見られなくなる日も近いのかもしれない。