フランス南部・カマルグ湿原のオオフラミンゴの群れ。冬をスペインやアフリカ北部などで過ごす渡り鳥の集団の方が留鳥より老化が遅いことが分かった(仏地中海湿原保護研究所提供) フランス南部、地中海沿岸のカマルグ湿原に生息するオオフラミンゴの群れには、年間を通じてほぼ同じ場所にとどまる留鳥と冬を温暖な近隣国で過ごす渡り鳥の集団があり、渡り鳥の方が長生きする可能性は低いが、老化は遅い傾向があることが分かった。仏地中海湿原保護研究所の研究チームが26日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
同湿原は世界有数のフラミンゴ生息地で、研究チームは1977年からひなの脚に識別用リングを付け、望遠鏡などで動向を観察している。オオフラミンゴは寿命が長く、50歳以上になる個体もいる。2020年までの44年間に調査した留鳥1357羽と、渡り鳥237羽を比較した。
その結果、若いうちは渡り鳥の方がイタリアやスペイン、アフリカ北部への移動の際などに命を落としやすいことが判明。同湿原に戻った際の繁殖でも、巣作りに良い場所を留鳥に取られてしまい不利になる。しかし、繁殖行動に老化が表れる時期は留鳥が平均20.4歳であるのに対し、渡り鳥は同21.9歳と遅かった。
壮年まで生き残った渡り鳥は強い個体が多いためと考えられるが、生物学的なメカニズムはほとんど解明されていない。留鳥は冬に寒波が到来すれば死滅するリスクがあるが、近年は温暖化でそのリスクが低下しているという。