
全国で相次ぐクマの被害。東京でも今年、多摩地域でのクマの目撃情報が150件を超え、先週末には、釣り人が襲われる被害もありました。
【写真で見る】凄すぎるクマの身体能力 映像入手“狩りの瞬間”
2025年のクマ出没数は過去最多だった年の2倍以上に?井上貴博キャスター:
クマは例年ニュースになりますが、2025年は特に多く、そこには特有の事情があるようです。
データをみてみるとクマの人身被害(4月〜7月)が過去最多だったのは2023年で、被害件数54件、死者数1人でした。
そして2025年(速報値)は被害件数48件で、2023年とほぼ同じ水準です。さらに死者数3人と、過去最多だった2023年を上回るペースで被害が出ています。
日本ツキノワグマ研究所の米田一彦代表いわく、クマの被害がより出始めるのは秋で、ここからシーズンを迎えるため、「2025年の出没数は2023年の2倍以上になるのでは」とのことです。
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米田代表は、2023年にクマが多かった要因が2025年に引き継がれているといいます。
まず、人里に近いところにクマが多く出没すると、人間は罠を仕掛けます。
その罠を「これ、なんだろう」と安全確認するのは子グマではなく、母グマです。そうすると母グマは駆除され、子グマが残されます。
残された子グマは、母グマがいなくなった場所で「いつか戻ってきてくれるのでは」と帰りを待つ習性があります。そのため山の中ではなく、人間の生活圏に近い場所で生活し始め、人間への警戒心もだんだん薄らいでいくようです。
2023年の子グマは、2025年には2歳から3歳くらいに成長しています。人間の年齢でいうと10代後半から20代くらいなので、一番活発なときです。それで2025年は人間へのクマ被害が増えているのではないかということでした。
あとはもちろん、山のほうにも他のクマが生息しているので、エサがないとどんどん人里近くにやってきます。
安すぎるクマ撃退スプレーには要注意…値段の目安は?井上キャスター:
では、クマと対峙したとき、私たちには何ができるのでしょうか。
米田代表は「大切なのはクマに遭遇しないこと。退治するのは非常に危険な行動」と話します。
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なぜ遭遇しないほうがいいのか、クマの身体能力がよくわかる“狩りの瞬間”の映像が滋賀県で撮影されました。
クマは時速40kmから60kmで走るといわれており、ウサイン・ボルトよりも速いスピードです。
また、これだけの速度で急斜面を走ることができ、ニホンカモシカの急所を一発で仕留められるほどの賢さもあります。
増田明美さん:
ウサイン・ボルトは時速45kmで、イノシシと一緒といわれていますから、クマの速さたるやということですね。
最近はトレイルランも流行っているので、こういう情報をどんどん発信しないといけません。
井上キャスター:
クマと遭遇しないための対策を米田代表に聞きました。
(1)音を鳴らす
●クマよけ鈴や笛
●大声で歌う
●木をたたく
●手をたたく
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(2)クマの活動時間を避ける
クマの活動時間のピークは午前5時頃と、午後5時頃なのだそうです。ピークの前後1、2時間程度を避けるようにし、朝方と夕方は特に危険だということを頭に入れましょう。
トレイルランの開催日時なども、こういったところから逆算して決めるとよさそうです。
なお、クマ撃退スプレーはさまざまな種類が売られていますが、クマ撃退スプレーなどを販売するファームエイジによると、注意点があります。
一つ目は性能の問題で、値段が極端に安いものは性能が低い可能性もあり、噴射時間・噴射距離が短いようです。しっかりしたクマ撃退スプレーは、1万5000円から2万円ほどするといわれています。
二つ目は使用時の問題で、いざクマが出てきたときにスプレーをしっかり使えるかはなかなか難しいので、一回試してみてください。
具体的には誤操作防止の結束バンドの外し忘れや、焦って上向きに噴射してしまう傾向があるといいます。
あとは、「スプレーを持っているから安心だ」と過信しないほうがいいのかもしれません。
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<プロフィール>
増田明美さん
スポーツジャーナリストとして「細かすぎる解説」が話題に
ロサンゼルス五輪 マラソン日本代表