自身の大豆畑で取材に応じるマーク・スコットさん=18日、米ミズーリ州ウェンツビル トランプ米政権下で中国との貿易摩擦が激化し、秋に収穫される米国産大豆の輸出に暗雲が立ち込めている。米農家らは世界最大の大豆輸入国である中国が対米報復関税を撤回せず、輸出が落ち込む事態を警戒。両国の対立が緩和し、中国が米国産の調達を進めることを心待ちにしている。
中西部ミズーリ州ウェンツビルで農場を家族で営むマーク・スコットさん(60)は、大豆やトウモロコシを育てており、生育に適した天候が続く場合には「両穀物とも記録的な豊作となる可能性が高い」と話す。大豆は全て海外向けで「輸出市場は生命線だ。個人としては自由貿易を支持している」と力を込めた。
米大豆の最大の買い手である中国に代わる巨大市場を見つけるのは困難だ。米中対立の長期化で、米国産のシェアが一段と低下することが懸念されている。第1次トランプ政権下でも米中は関税をかけ合い、2018年の米農産物の対中輸出は前年からほぼ半減した。中国は近年、物流網を整備して国際競争力を増したブラジル産大豆への依存度を高めるなど、調達先の多角化に努めている。
トランプ大統領は8月中旬、「中国が大豆の注文を直ちに4倍に増やすことを期待する。貿易赤字を大幅に削減する方法でもある」とSNSに投稿。ただ、中国が今秋収穫される米国産大豆を注文する動きは伝わっていない。
生産者団体の米大豆協会は19日、トランプ氏に宛てた書簡で、今後の米国産大豆購入の確約を中国から得るよう求めた。報復関税で米国の農家は中国市場から締め出されていると警告し、関税撤回を要望。「大豆価格は低迷し、農家は資材や設備に多額の費用を投じており、長期の貿易紛争に耐えられない」と苦境を訴えた。
昨年秋の大統領選では、農村部がトランプ氏の有力な支持基盤となった。米政権は農家救済のための補助金を打ち出す可能性もあるが、損失は全て補填(ほてん)されない恐れがある。(ウェンツビル=米ミズーリ州=時事)。