他人や他人のペットの証明写真がまさかのグッズ化……。そんなユニークな景品が入ったカプセルトイが若者を中心にブームを迎えています。発売以来累計25万個を売上げているという人気の“赤の他人の証明写真ガチャ”について、企画の背景などを考案者に聞いてみました。
「赤の他人の証明写真ガチャ」は、実在する見知らぬ人の証明写真がランダムに出てくるカプセルトイ。2022年から東京・神楽坂で販売され「#C-pla」(シープラ)や全国のヴィレッジヴァンガードなどで取り扱われています。
考案者は実業家で文筆家、映画監督などマルチに活動している寺井広樹さん。“赤の他人の証明写真”のカプセルトイはもともと、寺井さんが監督を務め、俳優のいしだ壱成さんと石田純一さんが親子で初共演した映画「散歩屋ケンちゃん」(2023年)の小道具として使われたのがきっかけ。以降実際にカプセルトイメーカーの「奇人クラブ」が商品化しました。
写真に写っている人物は全て実在する一般人で、寺井さんの知人の証明写真だそうです。現在は500種類以上の“赤の他人の証明写真”が商品化されており、人物の他にも“赤の他人のペット”や“赤の他人の卒業アルバム”などユニークでシュールな企画を展開しています。
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現在若者を中心に、知らない人や知らない人のペットの写真をゲットしてスマホに挟んで持ち歩く……といったブームが発生中。そこで今回、寺井さんに企画背景やカプセルトイについてのエピソードなどの話を聞いてみました。
―― まずは「赤の他人の証明写真ガチャ」を企画した背景を教えてください。
寺井さん:SNSでは“盛られた写真”が当たり前になって、逆に証明写真のように「盛る」とは真逆の写真が新鮮に思えてガチャにして販売したら面白いのではと思いました。
しかもどこの誰かわからない実在の人の証明写真をガチャにしたら話題になるのでは?と思ったのがきっかけです。
―― “赤の他人の証明写真”の種類はどのくらいあるのでしょうか?
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寺井さん:種類は現在500人(種類)です。9割ぐらい私の知り合いの方で、1割ぐらい売り込みをいただきました。
―― 全く知らない方の証明写真をグッズ化する際に大変だったことはありますか?
寺井さん:面識のない方は本人確認をZOOMでさせていただいています。昔の写真でもOKにしているのですが、70代の方から大学入学の時に撮影した証明写真を提供いただいて、50年以上前の写真で面影はあるものの本人確認に難航しました……。
―― おもしろいお話ですが大変でしたね……! 寺井さんの中で、流行の実感はありますか? 印象的なエピソードなどがあれば教えてください。
寺井さん:景品はシリーズ累計25万個を突破しました。「(赤の他人の)ゴールデンレトリバー」「(赤の他人の)トイプードル」が特に人気です。ヴィレッジヴァンガードさんで証明写真ガチャを設置している店舗が100店舗を超えました。ヴィレヴァンさんは最近、攻めた商品が少なくなっていると賛否あるそうですが、微力ながらお力になっているとうれしいです。
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証明写真シリーズとして「指名手配ガチャ」「歌舞伎町のホストクラブのパネルガチャ」「赤の他人のお見合い写真」「赤の他人の履歴書」「赤の他人の赤ちゃん」なども展開しているのですがなぜか外国人に人気です。
先日、NHK BSで赤の他人の証明写真ガチャを題材にしたドキュメンタリーが放送された(※)のですが、それを見て若い女性の間で“おじさん人気”を感じました(笑)
※7月14日にNHK BS「ミニドキュメンタリー」で「私だけの赤の他人」と題した同カプセルトイにまつわる特番が放送されました。
―― ジャンルもどんどん拡大しているとのことですが、どのような経緯から拡大していったのでしょうか?
寺井さん:ペットは「うちのワンちゃんを証明写真ガチャにして欲しい」というリクエストがありました。アイドルはアップアップガールズさんのYouTubeチャンネルに出演したときに「コラボガチャを作りましょう」という話になり、そこからうちも是非と声を掛けていただき広がりました。
―― “指名手配犯の写真”はかなり攻めていますね……!
寺井さん:何か社会貢献型のガチャを作れないかと考えました。しかし、実際の犯人の写真を使用するのは肖像権的にも難しいため人相の悪い友人や従兄弟に声を掛けました(笑)
―― 人気の証明写真はフリマサービスでも転売されているようですが、どのように感じていますか?
寺井さん:メルカリで4万円とかで売られていて、しかもそれが売り切れになってて驚きました。何が出るかわからない運試しみたいな楽しみがあると思っていましたが、ピンポイントで高値で他人の写真を買う人がいることに衝撃です。
―― 寺井さんにとって赤の他人シリーズとはどのような存在でしょうか?
寺井さん:スマホの裏がその人のセンスを表現するキャンバスみたいになっていますよね。証明写真シリーズはコミュニケーションツールだと思います。「そのおじさん誰?」とかツッコミを入れてもらったり、「ネコかわいいね!」と人から言われた時に「かわいいでしょ。誰のネコかわからんけど」などと答えたり、ユニークな会話が生まれると思います。
―― 証明写真シリーズは新たなコミュニケーションの1つとしても楽しまれているのですね……! ありがとうございます。最後にユニークなカプセルトイの新作について教えてください。
寺井さん:ホラー漫画家の日野日出志先生の豆本のカプセルトイが8月上旬に販売されました。私が日野先生の40年来のファンで、カプセルトイで一番作りたかった商品ですので感無量です。私が日野作品から幼少の時に受けた恐怖体験を豆本で再現できていてうれしいです。
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