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<陸上:世界選手権>◇第4日◇16日◇東京・国立競技場◇男子400メートル準決勝
予選で44秒44の日本新記録を樹立した中島佑気ジョセフ(23=富士通)が、準決勝3組で44秒53の好タイムで2着となり、着順(組2着以内)で18日の決勝進出を決めた。同種目では1991年東京大会の高野進以来、34年ぶりに“世界のファイナリスト”が誕生した。
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国立競技場の大歓声が背中を押した。第4コーナーを抜けた中島が、強みのラストスパートで猛追した。7番手から世界の強豪たちを、ごぼう抜き。2着まで順位を上げてゴールを駆け抜けた。予選で日本新記録に0秒09差に迫る44秒53。日本短距離界のニューヒーロー誕生の瞬間だった。
夢のファイナルを賭けた大一番も自分のレースに徹した。前半は無理をせず、強みのラスト100メートルで爆発する。「準決勝ではイチかバチかで突っ込む選手がいる。惑わされずに自分のレースで勝負しようと思った。プラン通り」。最後の100メートルは同組最速。予選敗退した昨夏パリ五輪での苦い経験を肥やしにした。
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東京生まれでナイジェリア人の父と日本人の母を持つ。中学3年で400メートルを始め、城西大城西高時代に同種目で00年シドニー五輪に出場した山村貴彦氏の指導を受けた。「高3の年始に山村先生から“日本一を目指せる選手”と言われてから日本一を目指したいと思うようになった」。それからわずか5年で世界のファイナリストに成長した。
くしくも、この種目の決勝進出は91年東京大会の高野進以来、実に34年ぶり2人目。あの時も地元の大声援が快挙の力になった。「感慨深いですね。自分も東京の応援の声を自分のバリアーを破る絶好の機会だと思っていた。地元開催の世界陸上は初めてで最後。そのチャンスを逃さず、目標を達成できて幸せです」。
その34年前、決勝で高野は第4コーナーまでメダル争いに絡んだが、結果は7位入賞。今の中島には、その先がはっきりと見えている。「まだ修正できる。前半にもう少し行って、後半もまとめられれば、メダルも見えてくる。自信をもって挑む」。今まさに伸び盛り。メダルだって夢じゃない。何しろ中島は、当時の高野より7歳も若いのだから。【首藤正徳】
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