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12日夜に襲った記録的な大雨で地下1、2階が浸水した三重県四日市市中心部の大型地下駐車場「くすの木パーキング」でポンプ車による排水作業が16日、おおむね完了した。地下2階の水位が安全が確認できる膝下まで下がったという。
津気象台によると、四日市市では12日午後10時14分までの1時間降水量が123・5ミリで、統計が始まった1966年以降で最多を記録した。国土交通省三重河川国道事務所によると、地下駐車場には大量の水が流れ込み、地下2階が水没し、地下1階は約1・2メートル浸水した。
駐車場では13日からポンプ車による水のくみ出しが行われた。同事務所によると、被害車両は地下1階で160台、地下2階で114台だという。地下2階では水がたまった車両に取り残された人がいないか同事務所や市の職員らが一台一台チェックし、人的被害はなかった。
多くの車が被害を受け、近くのレンタカー店には利用依頼が殺到しているという。トヨタレンタカー近鉄四日市駅前店によると、13日以降、水没を理由に来店する人が2倍以上に増え、1カ月以上の長期レンタルも「1日に1件あるかないかだったが、13日から急に増えている」とした。
自動車保険会社の特約でレンタカーを貸し出すケースも多く、ニッポンレンタカー近鉄四日市駅南口営業所の担当者は「13日だけで10件以上依頼があり、全て水没被害の方々だった。観光などでの利用者に断らないよう、他の営業所と連携をとって何とか営業している」と話した。
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また、四日市市は16日、市内の浸水被害が少なくとも床上約200軒、床下約3100軒の計約3300軒に上ると発表した。死者や負傷者は確認されていない。市は17日に罹災(りさい)証明書などの発行受け付けを開始し、住家被害認定調査を実施する。
県は13日に四日市市に災害救助法を適用し、避難所の設置などの措置を執った。16日には中部電力パワーグリッドも、市民らを対象に8〜11月分の電気料金の支払期日をそれぞれ1カ月ずつ延長するなどの特別措置を発表した。日本郵政グループは10月15日まで、大雨の影響で印鑑や通帳を紛失しても本人確認ができれば、1人につき最大20万円まで預貯金の払い戻しができるなど対応する。【荒川基従、渋谷雅也】
保険金の支払いや補償は…
多数の車両が水没したくすの木パーキングでの浸水被害。完全に水没した車は修理できず全損になるケースが多いとみられるが、保険金の支払いや補償はどうなるのだろうか。
大手損保の関係者によると、台風など大雨被害で全損となった場合、車両保険に入っていれば設定の上限の保険金が下りる。ただし、その金額は当該車両の年式や型式に応じて決まっているため買い替えの費用に見合うかは微妙。最近は登録から一定期間以内の比較的新しい車なら、新車購入時の費用を受け取れる特約もある。
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ただ、津波による被害は車両保険の補償対象外で、特約がない限り保険金は出ない。
一方、駐車場側は約款で、地震や火災、水害など不可抗力による損害について免責される、とうたうのが一般的。くすの木パーキングの運営会社も「そういう約款になっている」としている。
ただ、約款に書いてあれば何があっても事業者の責任は問われないというわけではないようだ。予見可能性に照らして最低限の備えをしていたかどうかもポイントになるとされ、場合によっては訴訟などに発展する可能性もあるとみられる。
同社は取材に「今は排水作業や安否確認に追われており詳しいことはお答えできない」回答。同社に約31%出資している四日市市の商業労政課は「運営会社に聞いてほしい」としている。【山本直】
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