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三菱UFJ銀行の支店の貸金庫から顧客の金品(計約3億9000万円相当)を盗んだとして窃盗罪に問われた元行員、山崎由香理被告(47)に対し、検察側は18日、東京地裁(小野裕信裁判官)の公判で懲役12年を求刑した。弁護側は最終弁論で懲役5年が相当だと主張して結審した。判決は10月6日。
検察側「前代未聞の犯行」
窃盗罪の法定刑の上限は懲役(現在は拘禁刑)10年だが、複数の窃盗罪が重なった場合は同15年と重くなる。検察側は「顧客の信用を裏切った前代未聞の犯行」として上限に近い量刑を選択した。
検察側は論告で、外国為替証拠金取引(FX)で生じた損失を補塡(ほてん)するため、2023年3月以降、練馬支店(東京都練馬区)と玉川支店(世田谷区)で顧客6人から預かった金塊計約26キロ(時価総額約3億3000万円相当)や現金計約6145万円などを盗んだと指摘。動機は極めて身勝手かつ自己中心的だと批判した。
さらに、支店長代理を務めるなど貸金庫を管理する立場を悪用し、発覚を免れるために貸金庫の開閉履歴が残るパソコンを操作したとも言及。「巧妙で常習性がある。貸金庫業務全体の信頼を揺るがしかねない社会的影響を与えた」と非難した。
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被告「被害者の気持ち忘れない」
弁護側は山崎被告が真摯(しんし)に反省し、銀行側から被害者に対して補償が進んでいると訴えた。山崎被告は最終意見陳述で「本当の自分を見失っていた。ギャンブル行動症(依存症)を治して二度と罪を繰り返さないようにしたい。被害者の気持ちを一生忘れることなく、罪を償っていく」と述べた。
24年10月に貸金庫を利用している顧客から「預けていた現金がなくなっている」と銀行に連絡があり、事件が発覚した。山崎被告は翌11月に懲戒解雇された。【安達恒太郎】
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