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アカデミー賞授賞式の司会も務めた米ABCテレビの人気司会者ジミー・キンメル(57)が、保守系政治活動家チャーリー・カークさんの射殺事件に関する発言を巡り、2003年から続く深夜の長寿トーク番組「ジミー・キンメル・ライブ」から無期限で降板させられたことが分かった。
米ABCテレビが17日に発表したもので、「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)の連中がチャーリー・カークを殺害した若者を自分たちの仲間ではないと決めつけようと躍起になり、政治的な利益を得るためにあらゆる手段を講じ、米国は最悪の状況に陥った」などと番組で述べ、トランプ米大統領がカークさんの死は「民主党の責任だ」と主張したことを批判したことが問題視されたものと見られている。
かねてトランプ大統領を批判してきたキンメルは、「ホワイトハウスは反旗を掲げた」などとも話し、トランプ大統領がカークさんを悼む発言について「まるで4歳児が金魚を弔っているようだ」とやゆしていた。
カークさんの事件を巡っては、トランプ大統領をはじめとする政権や共和党が、カークさんの見解や行動を批判したり、死を侮辱するなど不適切な発言をした人々を特定して報復する動きを活発にしている。兵士や公務員だけでなく、一般の企業で働く人の間でもSNSの不適切発言を理由に解雇や懲戒処分を受ける人が増えており、言論の自由が脅かされていると危惧する声が上がっている。
キンメル以外にも、MSNBCの政治評論家マシュー・ダウド氏が、番組で「あのようなおぞましい考えをやめずに、おぞましい言葉を口にしていたのだから、おぞましい行動が起きないと予想することはできない」と話し、カークさんが「ある種のヘイトスピーチをあおっている」と述べた直後に解雇されている。
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キンメルの降板を受け、俳優ベン・スティラーが「これは間違っている」とX(旧ツイッター)に投稿するなど、ハリウッドの関係者やコメディアン仲間から抗議の声が上がっている。
コメディアンのマイケル・コスタは、「これはアメリカの歴史における重大な瞬間。テレビ局は反撃しなければならない。これは全くのナンセンスだ」とコメント。俳優でコメディアンのティンジュ・ハイデッカーは、「暗い時代。とても恐ろしい。そしてファシスト政権下で暮らすことが、どういうことなのか目のあたりにしている。ジミーは大丈夫だと思うが、これは非常に恐ろしいことで、完全に国家主導の検閲だ」と投稿し、キンメルの発言はそれほどとっぴなものには思えなかったと擁護した。
また、カリフォルニア州のニューサム知事も「メディアプラットフォームの買収と支配。コメンテーターの解雇、番組の打ち切り。これは偶然ではない。組織的だ。そして危険だ。共和党は言論の自由を信じていない。彼らはリアルタイムであなたを検閲しているのだ」とXに投稿し、トランプ大統領を非難した。
今年7月に米CBSの深夜のトーク番組「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア」が打ち切りになると発表された際には、トランプ大統領は「ジミー・キンメルが次に去ることになる」と発言して自身に批判的な番組の司会者の降板を喜んでいた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)
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