56歳で第1子誕生の「オールドルーキー」吉田栄作が話題。“高齢パパ”たちの彩り豊かな人生

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2025年09月18日 22:11  All About

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先日、妻の内山理名さんとの間に第1子が誕生した吉田栄作さんをはじめ、アラ還を迎えて初めて子どもを持つ父親は少なくない。不安は尽きないが、それより大きな喜びに彼らは満ち溢れているようだ。※サムネイル画像:吉田栄作さん公式Instagramより
再婚した相手との間にすでに1歳になる子がいた俳優・船越英一郎さんは65歳。そしてつい先日、56歳で「初パパ」となったのは俳優の吉田栄作さんだ。晩婚化や離婚などで、高齢になってから初めて子どもをもつ父親は一般的にもよく見聞きする。人生100年時代とはいえ、子どもが成人するときは70代、80代となるのだが……。

気恥ずかしいけど

「僕は他の人より成長が遅い人間なのかもしれません」

笑いながらそう言うのはショウタさん(58歳)だ。20代で離婚を経験、家族はいらないと一人で生きてきた。「仕事と友達がいれば十分」と公言してきたが、50代に入ったところで両親が亡くなり、寂しさが募っていった。

「大事に思う人がいてこその人生かなと思うようになって……。とはいえ、こんなオジサンの人生に人を巻き込むのも申し訳ないしと、なんとか自分で自分を奮い立たせていました」

仕事にまい進し、余暇はスポーツジムで身体を鍛え、仲間と釣りやサッカーに興じた。それでもみんなが「帰って家族に刺身でも食わせるかー」と別れていくとき、言葉にならない孤独感があった。

「54歳のとき、たまたま18歳年下の女性と知り合ったんです。彼女から本気で好きだと打ち明けられても信じられなかった。僕なんかよりあなたにふさわしい年齢の人がいると説得したんだけど、彼女の愛情がありがたくてうれしくて、僕も自分に正直になるしかなかった」

55歳で結婚し、57歳で初めて「パパ」になった。職場や友人に打ち明けるのが照れくさくてたまらなかったと相好を崩す。

子どもと妻に夢中

「今は子どもと妻に夢中です。最近、付き合い悪いなと友達には言われますが、子どもは日に日に成長しますから見ているだけで楽しくてたまらない。この年にして、やっと人並みの情緒が芽生えたんじゃないかと思っています」

他の人が30代で経験することを今やっているという実感がある。だから「成長が遅い」と自嘲しているのだが、「成長が遅いということは、まだまだ伸びしろがあると勝手に解釈しています」と笑う。

「以前より健康に気を配るようにはなったけど、妻からは『あなたはあなたらしく、今まで通りのびのび生活して』と言ってもらっています。このすてきな女性を妻にできたのが、僕の人生の一番の幸運かもしれない」

のろけが止まらないショウタさんだが、定年まであと7年と考えると、その後の経済的な問題も考えざるを得ない。幸い、妻も仕事を続けているが、子どもの学費などを想像して頭が痛くなることもある。

「とにかく元気で働かなければと思っています。人生で今が一番エネルギーに満ちているかもしれない」

ショウタさんは大きな笑みを見せた。

おじいさんに見られてしまう悲しさ

「僕は73歳、娘はまだ10歳なんですよ。芸能人とは違いますよね、われわれ一般人は」

タカオさんは苦笑した。30代で結婚したが40代で離婚。子どもはいなかった。海外出張が多く、子どもをもつことにためらいがあったという。

「その後、結婚する機会はありませんでした。自分でも一人で生きて一人で死んでいくものだと思っていた」

だが60歳のときに22歳年下の女性と電撃結婚。結婚と同時に定年退職を迎え、周りを驚かせた。相手の両親にも大反対されたが、すでに彼女は新しい命を宿していた。

「僕がパパになれるなんて。奇跡だと思いました。手に職があったので、なるべく収入のいいところに再就職し、今も現役で働いています。もちろん、妻も働いてくれているのでなんとか食べていけている状態ですが」

保育園では、「あら、おじいちゃんが迎えに来たの?」と他の子のママに言われてショックを受けた。だが妻は「人は当然、そう見るわよ。そんなこと気にしちゃダメ」と堂々としていた。

「妻から指導を受けていろいろ自己改造しましたよ。髪形から着るもの、そしてなにより歯科検診。近所の公的なジムで週に3回は鍛えています。おかげで背筋は伸びていると思います。まあ、それでもいまだに小学校ではおじいちゃんだと思われがちですけどね」

落ち込むこともあるけれど

最近、娘が父親と一緒に歩きたがらなくなった。気持ちが分かるだけに、タカオさんも無理強いはしない。今後はもっと嫌われるかもしれないと覚悟している。

「妻に言わせれば、『パパが嫌いなわけじゃない。でもからかわれるのは嫌』ということのようです。子どもができてうれしくてたまらなかったけど、娘自身は僕なんかを父親にもって損をしたかもしれません。ついそういうことを考えてしまいますね」

いくつまで娘を見ていられるのかと落ち込むこともある。だが、そのつど妻に叱咤(しった)激励されて「長生きしなければ」と思うのだそうだ。

「年齢なんて関係ない、子どもをもつことは素晴らしいと諸手を挙げるわけにはいかないというのが僕の本音です。それでも、僕自身はこの人生でよかったと思っています。お金の苦労はあるけど、それでも家族がいてよかったと思うことも多々あるので」

これからもがんばらなければとつぶやいて、タカオさんはジムへと走っていった。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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