
世界陸上では、様々な名場面が生まれました。その一方で、異例の出来事も…。
知っているようで、意外と知らないルールとは。
【写真を見る】解説も「見たことがない光景」まさかのマラソンでフライング
相次ぐ「フライング」スタートのタイミングは決まっている?井上貴博キャスター:
フライングについて、どう考えるのか。
14日の男子100m決勝ではボツワナ代表のテボゴ選手が合図の約0.3秒前にスタートし、一発で失格となりました。
また、15日の男子マラソンでもフライングがあり、解説が「今まで見たことがない光景」と表現するほど、珍しい事態となりました。
「スターターにより癖がある」とも言われますが、そういったところはあるのでしょうか。
陸上100mハードル元日本代表 木村文子さん:
大会によってスタートのタイミングは変わってきます。スターターとの相性も問題になってくると思います。
出水麻衣キャスター:
0.3秒前にスタートしてしまうと一発失格となりますが、この「0.3秒」というのは、選手としてはどのように捉えているのでしょうか。
木村文子さん:
本当にタイミングによって難しいので、選手はかなりセンシティブに調整していきます。
ウォーミングアップの前日練習から、スターターがどのようなタイミングなのか、各国のコーチたちも確認して、それを選手に伝えるようにしています。
井上キャスター:
「よーいドン」の時間は、厳密には決まっておらず、人によって変わるので、誰がスターターになるかを事前に調べて、それに合わせるということなのでしょうか。
木村文子さん:
大会によって、ある程度タイミングは揃えていると思いますが、人によって微妙に違うということはあると思います。
私は「自分に合わせてピストルを鳴らさない」という練習をしていました。「短めが好き」「長めが好き」など、“好きなタイミング”を作らないよう、どんなタイミングでも出られるように練習からやっていました。
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井上キャスター:
もう一つ、「接触」がありました。15日に行われた、男子3000m障害です。三浦龍司選手が最後の障害で後ろの選手と“接触”、失速して8位となりました。
「あと一歩惜しかった」と思うのと同時に「こういうスポーツなのかな」など色々な感情になりましたが、この辺りはいかがですか。
木村文子さん:
私は100mハードルでレースをしていましたが、隣の選手と接触することはありました。
国際大会でもよくあることだと思いますが、3000m障害は隣の選手だけではなく、選手同士の前後の間隔は思っているよりも近いので、三浦選手自身が悔し涙を流されていた気持ちも、競技をしている選手が見えている距離感もあるので、競技をしている選手にしかわからない悔しさもあると思います。
井上キャスター:
悪質な接触かどうか、線引きはどうしているのでしょうか。
木村文子さん:
そこも難しいです。「悪質ではない」と選手は伝えてくると思うので、何を基準にするのかはすごく難しいです。なので、大会ごとに判定する人をきちんと置いて、その人の判定のもとでやっているという形です。
井上キャスター:
今回、日本陸上連盟としては“妨害行為”として抗議をしましたが、話し合いの結果、棄却となりました。
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<プロフィール>
木村文子さん
陸上100mハードル元日本代表
2012年ロンドン・2021年東京オリンピック出場
現在は講演や解説などで活躍
昨年第一子を出産
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