ソフトバンクのグループ会社で、生成AIのSaaSによる開発・運用とコンサル事業を手掛けるGen-AX(ジェナックス)は、コンタクトセンターにおける自律思考型AIの音声応対ソリューション「X-Ghost」(クロスゴースト)を開発した。まずは三井住友カードと連携して実証を進めた上で、2025年度中の正式提供を予定している。
●人手不足・高離職率・多様化 課題に対してAIが新たな選択肢
日本国内では労働力不足が深刻化している。セールステックのScene Live Media(シーンライブメディア)の調査によると常用労働者全体の離職率は平均8.7%なのに対し、コンタクトセンターでは約30%に達している。この高い離職率によって人材が定着せず、サービスや応対品質にばらつきが生じているのが実態だ。顧客満足度は低下し、現場の業務負荷は増している。
コンタクトセンターを取り巻く環境は、人手だけでは支えきれない転換点を迎えた。企業が提供するサービスや製品が多様化する中で、リアルタイムで問題を把握し対応することは、企業の売り上げやブランド価値向上に直結する重要な要素となっていて、早急な体制構築が必要だ。
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Gen-AXは、AIを単なる自動化ツールではなく「人に寄り添い、現場とともに成長していく存在として育てていくことが重要」とする。
X-Ghostは、AIオペレーターとして人間らしい自然な音声対話をするだけでなく、大規模言語モデル(LLM)の運用を効率的に管理するための手法やプロセスである「LLMOps」により、業務知識の構造化や品質評価を通じてAIが継続的に学習し、進化できるようにした。
この機能により、常に最適な回答や提案を提供できるようにする他、従来のコンタクトセンターが抱えていた高い離職率に伴う応対品質のばらつきや業務負荷の増大といった課題の解決を支援する。企業の多様な商材・サービスにリアルタイムで対応し、顧客一人一人に寄り添ったコミュニケーションを実現する構えだ。
三井住友カードは、年間600万件に上る問い合わせのうち、3年後を目標に過半数をAIオペレーターが対応することを目指し、技術検証を進めている。X-Ghostの導入により、24時間365日の音声対応体制を構築。利便性の向上と、迅速な応対による顧客体験(CX)の向上を図る。
(小松恋、アイティメディア今野大一)
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