プラザ合意は「日本経済の岐路」=行天豊雄・元大蔵省財務官―プラザ合意40年・識者インタビュー

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2025年09月21日 08:02  時事通信社

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時事通信社

インタビューに答える行天豊雄元財務官=8月20日、東京都中央区
 ―プラザ合意の評価は。

 当時、米国の保護主義の問題は非常に深刻で政治家も含めて、なんとかしないといけないという問題意識を共有していた。保護主義を防ぐには、米国の貿易赤字を減らさないといけない。そこで、これまで秘密会合だった先進5カ国(G5)蔵相・中央銀行総裁会議を表に出して、劇場型にした。割高なドルを是正しないといけないという意味では、非常にうまくいった政策調整だった。

 ―合意後に円高が急速に進んだが。

 当初、10〜15%の円切り上げを想定していた。しかし、1ドル=240円程度だった円相場が、翌年には150円台まで上昇したことが、想定外だったのは事実だ。一体、円高への対応をどうするんだという話になった。そこから、日銀の金融緩和が始まり、不動産と株のバブルが発生した。日本のバブルは他国に比べ、規模が大きくて、崩壊したときのダメージはものすごく大きかった。

 ―日本経済はどうあるべきだったか。

 プラザ合意というのは、日本経済にとって大きな岐路になった。戦後80年の中で重要な選択を迫られ、道を誤ってしまった。自動車や電機など競争力のある特定の産業による輸出依存の成長モデルをやめて、円高を受け入れ、民間投資や消費者が主導する経済に変わらなければならなかった。

 ―国際経済秩序の現在地は。

 プラザ合意のときもそうだが、(戦後の国際経済・金融秩序である)ブレトンウッズ体制が崩れてきて、新しい秩序をどうつくるのかという努力と知恵が足りなかった。新しい秩序がないまま、現在までずるずると来ているというのが現状ではないか。 

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