
みなさんは手術を受けたことはあるでしょうか?イラストレーター・兎星しずかさんの『人生ではじめて手術をした話』は題名の通り、兎星さんが初めて手術を受ける様子を描いたレポ漫画です。以前X(旧Twitter)にポストされると、4.7万もの「いいね」が寄せられています。
とにかく「尿管」が苦手だった兎星さん
月経不順でなんとなく婦人科を受診した兎星さんは、診察の結果「卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)」が見つかり、先生に「手術した方がいいと思う」と言われました。
この頃の兎星さんは自覚症状が全くありませんでした。お医者さんいわく、腫瘍は6cmを超えると「捻転」「破裂」の可能性があり、その時は緊急手術になるとのこと。兎星さんの腫瘍は7cmもあったため、そうなる前に取り除くことになります。
そして、入院まではとにかく検査を重ねます。ようやく入院日(手術前日)を迎えると、初日はもろもろの説明がされるだけで、特にやることはありませんでした。兎星さんの場合、その日の夜0時から断食で、手術の開始時刻は朝8時半だったので2時間前の6時半に水も禁止になります。
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ついに手術の時間になり、看護師さんと一緒に手術室に向かう兎星さん。その後、台の上で横になった兎星さんは担当医から「ちくっとしま〜す」と言われ、ややすると目の前が真っ暗になります。
ちなみに兎星さんが受けたのは「腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)」というもので、おへそからカメラ、両サイドの小さな穴から「鉗子(かんし)」という手のような器具を入れて行う手術のことです。傷が比較的小さいので回復が早く、社会復帰も早いのが特徴。兎星さんの場合、3時間で手術が終わりました。
覚醒後、担当医からの問いかけに「ほんとにねてたらおわりました…」「ひどい生理痛みたいな」「ふるえてきた」と応える兎星さん。はじめに感じた痛みは生理痛のような重い痛みで、体は終始震えていたそうです。
術後、たくさんの管につなげられた状態になりました。鈍痛はあったものの薬のおかげで痛みはそこまでひどくなかったそうですが、尿を排出するための「尿管」の若干の痛みと違和感が「すごく苦手だった」と語っています。
自力歩行がしっかりとできれば尿管は外してくれるそうで、兎星さんは「意外と動けるかも」と調子に乗って歩いたところ、患部の外側が痛み出して初めてナースコールを利用したそうです。
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他にも入院中の食事事情や、お腹についている「ドレーン(手術後の余分な水分や血液を体外に出すもの)」の取り外しなどを経て、ついに退院します。
今回の一件を経験した兎星さんは、世の中の女性に対して「『婦人科の内診ちょっと嫌だなぁ』という気持ちは分かるけど、『破裂して緊急オペ!』になる前に一度検診に行こう!!」というメッセージを送るのでした。
読者からは「とてもタメになる漫画だった」「とても読みやすくて分かりやすかった」などの声があります。そこで作者の兎星さんに同作を描いたきっかけについて話を聞きました。
絶対に入れたいと思っていた場面は「術後、目覚めてすぐの体の震え」
―同作を描くことになった経緯を教えてください。
昨年病気が見つかった直後は毎日不安で、とても心細く感じていました。そんな時に、同じ病気や手術を経験した方のレポ漫画やブログにとても励まされました。また、初めての手術は思いがけない出来事も多く、戸惑う場面もありました。なので、私もこの体験を漫画にして発信することでこれから病気や手術を体験する人の不安感を少しでも減らすことができればと思い、漫画を描きました。
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―同作の中で、特にお気に入りの場面があれば、理由と一緒にぜひお聞かせください。
今回のレポ漫画はカットできそうな部分もあえて細かく入れるように意識しました。特に術後目覚めてすぐの体の震えは、個人的にとても印象的で絶対に入れたいと思っていた場面だったのでお気に入りです。
―些細な部分の質問で恐縮ですが、ご自身をウサギのキャラとして描いたきっかけや理由を教えてください。
自分をうさぎで表現するのは小学生の頃からの癖で、うさぎが好きだから以外の特別な理由は実はありません(笑)。ですが、今回のレポ漫画を読んでくださった皆様から「読みやすかった」というお声もいただいて、「手術」という少し生々しい話をマイルドに見せる効果があったかなと感じています。
―読者にメッセージをお願いいたします。
『はじめて手術をした話』をご覧いただきありがとうございます!私の漫画で、男性女性関係なく定期検診の大切さを少しでも知っていただけたら嬉しいです。女性の皆さんは特に婦人科の検診にぜひ行ってみてください…!私はすっかり元気になり、楽しく絵を描いたりイベントに出たりしておりますので、これからも兎星の「可愛い」を楽しんでいただけたら幸せです!
(海川 まこと/漫画収集家)