「ネギ多め、ツユ熱め」駅の立ち食いそば屋で細かい注文をつける迷惑客…毅然と対応していた店主の怒りが爆発した“納得の理由”

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2025年09月21日 09:20  日刊SPA!

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 隙間時間にもふらっと立ち寄れる手軽さが人気の立ち食いそば。多くのサラリーマンに愛されるこの場所にも、モンスター客はいるらしい。
 藤島光一さん(仮名・30代)は、立ち食いそば店で迷惑客に遭遇した経験がある。

◆「ネギ多め、ツユ熱めで」という注文に対して…

 ある日、藤島さんは通勤中、駅構内の立ち食いそばに入店した。天ぷらそばを注文して待っていると、50代ぐらいの男性が入ってきたという。

「券売機で買った食券を店員に渡すときに、『ネギ多め、ツユ熱めで』と言ったんです。まるでラーメン二郎の“コール”のように。『そんなサービスあるの?』と思いましたね。私は立ち食いそばが好きでよく利用しますが、『ツユ熱め』という注文は聞いたことがありませんでした」

 藤島さんによると、店員は毅然とした口調で対応したそうだ。

「店員はややぶっきらぼうに、『うちは駅そばなのでツユの温度調整はやっていません。どこの駅そばでもそういうサービスはないと思いますよ。とにかくできません』と返したんです。私は、こういうやりとりも駅そばらしいなと思って見ていました」

◆「ネギ多めに金を取るなんて前代未聞」と騒ぎだす

 ところが男は突然声を荒らげ、怒鳴り始めた。

「『なんでできないんだ! 他の店ではやってもらえた、おかしいだろ』と叫んでいました。店員も『嫌なら返金しますよ。そもそも寸胴鍋で一定の温度を保っているツユを、個別に温め直せと言うんですか?』と毅然とした対応をしていて、さすがだなと思いましたね」

 男性はイライラしながらも、空腹には抗えなかった様子。

「意外にも、『じゃあもう普通でいいよ』と、すんなり引き下がりました。この険悪な状況でよくそばを食べる気になるなと、笑ってしまいました」

 ようやくそばが提供されると、今度は「ネギ多め」をめぐってトラブルが起きた。丼を受け取った男に対し、店員が「ネギ多めは追加で20円になります」と伝えたのだ。すると男は再び激怒した。

「『そんなことどこに書いてあるんだ! 俺は何度もここに来ているが、ネギ多めはサービスの一環だったはずだ。金を取るなんて浅ましい』といったことを盛んに主張していました。『ネギ多めに金を取るなんて前代未聞だ、それなら最初から言えよ』とも。『ネギ多め』はたまに注文している人を見かけますけど、それは店の善意ですよね。私からすれば、男のほうがよほど浅ましいというか、がめつい印象を受けました」

◆ついに店主の堪忍袋が切れる

 怒る男性に対し、店員は冷静に返した。

「『ネギ増し20円の食券、見ませんでした?』と言うんです。私も最初は気づきませんでしたが、あとで見たらたしかに券売機にボタンがありました。以前は無料対応していた時期もあったようですが……。男は『ネギを抜く人もいるし、そんなに高いものでもないだろ。なんでケチるんだ』とクレームを続けていました」

 男性は最後まで納得せず、追加料金を払う様子もなかった。藤島さんによれば、その間に食券を手にした客が列を作り始め、店内の空気は険悪になっていたという。

 やり取りが長引いた末、ついに店主の怒りが爆発した。

「『払えないなら帰ってください。他のお客さんも待っています。文句があるなら本社にでもクレームを入れてください。とにかくネギ多めもツユ熱めも、うちはやっていません』とバッサリ斬ったんです。少し強い言葉でしたけど、相手が相手ですから当然だと思いました」

◆駅そばに細かいこだわりを持ち込むべきではない

 結局、男性はどうしたのだろうか。

「舌打ちをして『そんなこともできない店に用はない』とつぶやきながら、返金だけはちゃっかり受け取って店を出ていきました。どうしてそこまでネギ多めとツユ熱めにこだわるのか、理解できません(笑)。ある意味、忘れられない体験でした。店員には災難そのものだったでしょうけど」

 藤島さんは騒動をこう振り返る。

「駅そばに細かいこだわりを持ち込むべきではないと思います。店によってはネギ入れ放題のところもありますが、基本的にネギの量は店が決めるもの。食材はタダではないし、物価は上がっていて経営も苦しいはずです。個人的には『ネギ多め』という注文は、善意を当然のように要求している感じがして好きになれません。店にとっては迷惑でしかないと思います」

 駅そばは飲食店のなかでも公共性が特に高い場所であり、利用客は改札を通過するかのように短時間で入れ替わっていく。

 そうした空間で自分の要求を大声で押し通さんと時間と席を“占有”する人物は、周囲にとっても店舗にとっても、招かれざる存在でしかない。

<TEXT/佐藤俊治>

【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など

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  • もちろん店員も反論する権利もあるだろうが面倒だから熱めのネギ多めと言いながら普通のそばだしたら良かったのでは?(^_^;)
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