精米店「山菊米穀店」に並ぶ2025年産の新米と、同店の雨間瑞秀店主=20日、東京都足立区 コメ不足が続く中、2025年産の新米が店頭に並び始めた。農水省が19日に発表した全国のスーパーの平均価格は5キロ当たり4275円と3週連続で値上がりするなど、コメ価格は再び上昇に転じており、販売店は価格高騰による客離れに伴う利益の減少を懸念している。節約志向の強まりから、割安で利幅の小さい24年産米を選ぶ消費者も多く、悩みは尽きない。
東京都足立区で精米店「山菊米穀店」を営む雨間瑞秀さんは、銘柄によっては新米の仕入れ価格が前年に比べ7割程度上昇したケースもあると説明。「そのまま販売価格に上乗せするわけにもいかず、利益が減ってしまう」と肩を落とす。
北区の精米店「篠原ライス」は、北海道産「ゆめぴりか」の新米販売価格を昨年同時期の1キロ当たり1000円から2割程度引き上げた。店主の篠原秀久さんは「コメは足りない状況が続いており、価格は年内は下がらないだろう」とみる。
同店で新米5キロを5000円弱で購入した同区内在住の70代男性は「夫婦2人で食べるので、1カ月程度でなくなってしまう。数年前は3000円くらいで売っていたので、なるべく早く値段が下がってほしい」と話した。
全国に展開する大手スーパーチェーンでは、8月末から一部店舗で新米の販売を始めた。9月中旬時点の流通状況は24年産米が8割で、新米は2割程度。同社広報は「昨年に比べて新米の価格は高騰している」とした上で、価格を重視する層には新米の消費が広がっていないと指摘。この状況が続けば、比較的安価な海外産米の販売が増える可能性もあると予想している。

精米店「篠原ライス」の篠原秀久店主=20日、東京都北区