インタビューに答える金融庁の三好敏之金融国際審議官=2日、東京都千代田区 金融庁の国際部門トップを務める三好敏之金融国際審議官はインタビューに応じ、金融規制を巡り、米国の動向を注視していく考えを示した。金融規制の分野で「米国が果たしてきた役割は大きい」とした上で、今後国際協調の枠組みから逸脱していけば、「規制の分断が起きる可能性があり、世界全体の金融セクターにとって望ましい結果をもたらさない」と警戒感をにじませた。
トランプ米政権は経済成長を重視し、銀行に対する資本規制の緩和を推進する立場を取る。気候変動対策にも消極的とされ、金融業界では揺り戻しが起きている。
三好氏は「実体経済に比べ、金融の世界では米国のプレゼンス(存在感)がまだまだ大きい」と説明。日本の中立的な立場を生かし、「米国や欧州連合(EU)との間を仲介する役割を果たし、国際的な議論に貢献していきたい」と語った。
国際的な資本規制「バーゼル3」を巡っては、日本国内の金融機関が2025年3月期までに最終適用した一方、英国などで実施が遅れている。三好氏は「決して喜ばしいことではない」と話し、「完全な形で実施されるよう働き掛けていく基本方針に変わりはない」とした。
資本市場で台頭する投資ファンドなどノンバンクについては、「銀行のように、必ずしも当局の厳格な規制・監督に服しているわけではない」と指摘。各国間でどのようなデータが必要なのか認識をすり合わせ、ノンバンクの情報を共有していくことが必要と訴えた。