
就職活動をしていると、本当の自分とはまったく違う面接用の自分を取り繕ってしまうことが多いはずです。そんな就活のリアルを描いた漫画『本当の自分より内定する自分を作り上げる話』が、Xに投稿され注目を集めています。
【漫画】『本当の自分より内定する自分を作り上げる話』(全編を読む)
物語は、学生から新入社員を発掘するリクルーターとなった主人公・麦田が、同僚のとともに学生と面談するところから始まります。同僚は入社希望の学生に、志望動機の作り方や面接対策を次々とアドバイスし、テンポよく話を進めていくのでした。
その様子を見ていた麦田は、学生が本当に伝えたい気持ちが置き去りになってしまうのでは…と疑問を抱きます。そして面談後、麦田は同僚に「対策ばかりでは佐藤さんの本当の気持ちが離れてしまうのでは」と相談します。すると同僚は「心配しすぎですよ!」「第一本当の自分って何ですか?」と答え、さらに「就活生にとってはそんなモノより内定する自分さえ作れたらいいんですよ」と付け加えるのでした。
その後、今日アドバイスをした学生が受けるはずのサマーインターンの面接官が麦田の後輩であることを話す同僚は、麦田に面接官への“口利き”もお願いしてきます。これを不正だと考える麦田が驚いていると、同僚は「ちょっとお願いするだけですよ」「学生のためです」と言い、麦田に迫ります。
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就活生の苦悩にフォーカスした同作について、作者の吉谷光平さんに話を聞きました。
就職活動特有の難しさを漫画に
ーこのエピソードは、作者さん自身の就活経験やリクルーターとしての体験ですか?
主に現役大学生、採用担当者さんへの取材です。自分の就活は10年以上前なので参考にできませんでした。その違いを知り、漫画にしたくなったのが就活編を描き始めたきっかけです。
ー「本当の自分」と「内定する自分を作る」という2つを描いた意図は?
内定を得るためのテクニックは実際に存在していて、聞けば聞くほど納得します。しかし、テクニックに偏ると皆おなじような語り口になってしまい、魅力が薄れてしまいます。かといって、ありのまますぎる自分ではただのワガママに見えてしまう。その就活の難しさを、二つの視点から描きたいと思いました。
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ー作品で一番伝えたいメッセージは?
いろいろありますが「人生何があるか分からない。答えは自分で探す、そして自分で決める」ということだと思います。今は「自分の答えを自分で決める」ことがどんどん難しくなっていて、大人も社会も答えを押しつけてきます。そんな中でも、少しでも読者に“自分で考えていいんだ”と伝わるような漫画を描きたいです。
(海川 まこと/漫画収集家)
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