「互いに再婚したけれど……」離婚後も惹かれ合う元夫婦が、“家族の絆”を再構築するまで

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2025年09月24日 22:10  All About

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「あのときはどうしても我慢できなかった」友人と不倫した夫を許せず、離婚した44歳女性。その後互いに再婚したが、うまくいかなかった。離婚の選択が間違いだと感じたとしても、家族関係を再構築することはできるのだろうか。※サムネイル画像:PIXTA
離婚後、互いに「やはり離婚しなければよかった」と思うこともあるだろう。人間だから、そのときの売り言葉に買い言葉だったり、腹が立って熟慮できなかったりして決断を間違えても不思議はない。

夫の不倫で離婚

夫が妻の友人と1度だけ関係をもった。それがどうしても許せなかった。そんな経験をしたミナコさん(44歳)。結婚したのは29歳のとき。30歳で1女をもうけ、33歳のときにその“事件”が発生した。

「夫は私の友人から、夫婦関係のことを相談されていたそうです。私には話さないでと言ったらしくて。『どうしても断り切れなかった。僕が去ったら彼女は死んでやると言っていたから』と憔悴したような顔で言っていました。

彼女はそのことで『ダンナ盗っちゃった』と、私にマウントをとるようなメッセージを送ってきて……。夫は私の目の前で彼女に電話をかけ、『きみと続けるつもりはないから』と宣言。私たちはやり直そうと決めました」

それでもことあるごとに友人の顔が浮かんでくる。彼女が「ミナコの夫と関係をもった」と吹聴したこともあり、ミナコさんは疲弊した。

「2年頑張ったけど、やっぱり無理だと夫に告げました。夫は分かった、と。中古でマンションを買ったばかりだったけど、ローンは夫が支払う、養育費も払うと。私も仕事を続けていたので、慰謝料は断りました。浮気された代償としての慰謝料なんて、かえってみじめだと思ったから」

それぞれ再婚することに

夫は当時5歳だった娘にだけは会いたいと懇願した。すぐ近くの古いアパートに住み、ことあるごとに娘に会ったり遊びに連れ出したりした。

娘が8歳のころ、ミナコさんは仕事仲間の年下男性と恋に落ちた。娘の手前、家に連れてくるわけにもいかない。残業だと言うと、元夫は娘の面倒をみてくれた。少し心苦しかったが、それに甘えて、恋人との時間を楽しんだ。

「年下彼は早く結婚したい、と。私もそう思ったけど、やはり娘のことがあるから慎重に進めたかった。そうこうしているうちに、元夫が『再婚するわ』と。再婚しても親子関係は変わらないし、娘にはしばらくそれは伏せておこうと話し合いました」

元夫に触発され、ミナコさんも再婚話を進めていった。年下彼を娘に会わせた。娘は「ママの彼氏だね」と笑顔だったが、実際は複雑な思いがあったようだ。

再婚生活は楽しくなかった

「拙速だったなと思う。2年ほどで婚姻届を出したけど、娘と彼の距離は縮まっていなかった。しかも元夫がローンを払っている部屋で、今夫と娘と3人で暮らすというのが、どうにもすっきりしなくて。

娘と夫は遠慮しあい、間で私がおろおろする感じが続いて。夫はだんだん帰ってこなくなったんです」

やっぱりダメか、ごめんねと娘に謝ったこともある。「悪い人じゃないんだけどね」と10歳の娘はませた口調で言った。

「元夫と娘は変わらず会っていましたから、娘にしてみれば知らない男より父親といる方が楽しいでしょうしね。だからといって父親と会うなとは言えなかった」

1年足らずで離婚したのだが、娘から元夫にその情報が伝えられたとき、「大丈夫?」と連絡があった。大丈夫だけど、娘を傷つけた、よけいなことをしてしまったと言うと、娘のケアは任せとけと元夫は電話口で明るく言った。

「人が離婚したのにやけに声が明るかったんですよ。その後、元夫から『たまには3人で会わない?』と言われて。離婚して5年ほどたっていましたね。久々に会って食事をしたら、場の雰囲気がすごくしっくりきて。

2年ほどそんな感じでたまに3人で会ったり、娘の学校行事に一緒に行ったりしていました」

戻った家族の形

そしてある日、夫に言われたのだ。「実はオレも離婚した」と。もう一度やり直さないかという言葉を夫は飲み込んだように見えた。そのことで、ミナコさんは夫が少し「進化したかも」と思ったそうだ。

「もともと、特に夫に不満はなかった。娘を大事にしていたし、共働きでうまくやってきたのも夫が協力体制をしっかり組んでくれたから。でも夫の浮気、しかも私の友人とということで許せなかった。あのときはどうしても我慢できなかった」

近ごろは、夫がやってきて一緒に食事をとることも増えた。3人で食卓を囲んでいるとき、娘が言った。

「もう、めんどくさいな、二人とも。さっさと再婚したら? その気あるんでしょ」

二人は顔を見合わせて思わず笑った。深く話し合ってはいなかったが、互いにそのつもりだと分かっていた。

「婚姻届は出しても出さなくてもいいかなと思っていました。実質的に家族に戻っていましたから。10年前の夫の裏切りは今も許せないけど、許せないと伝えているし、夫も分かってると言っている。それでもあえてそこを乗り越えて、今ならやり直せるかもしれないと感じています」

ただ、中学生の娘としては婚姻届を出してほしいという思いもあるようだ。そんなことにこだわらなくていい、事実を大事にしていこうとミナコさんは言った。だが元夫は婚姻届を出したい様子。そこだけは今後の話し合いですかねとミナコさんは微笑んだ。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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