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テレビドラマ「木枯し紋次郎」の主人公をまねたキャラクターを駄菓子の容器に無断掲載したとして、原作小説の作者の遺族らが駄菓子メーカー(名古屋市)に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、知財高裁(中平健裁判長)は24日、著作権侵害を認めて約5600万円の賠償を命じた。1審・東京地裁判決(2023年12月)は請求を棄却しており、遺族側が逆転勝訴した。
判決によると、「木枯し紋次郎」は1971年に時代小説として雑誌連載が始まり、翌年にテレビドラマがヒットした。主人公の「紋次郎」は、大きな三度がさをかぶる▽長い縦じま模様の道中がっぱを着用▽細長いようじをくわえる▽長脇差しを携帯――という四つの特徴があった。
問題となった駄菓子は、ドラマ放映直後から売られている「紋次郎いか」。味付けした串刺しのイカを容器に入れたもので、容器のラベルには紋次郎の四つの特徴を備えた人物のイラストが描かれていた。遺族側の問い合わせを受け、22年にイラストは外された。
知財高裁は判決で、四つの特徴を全て備えた人物が他のドラマには出てこず、イラストはドラマに登場する「紋次郎」の本質的な特徴を維持した創作的表現に当たると指摘。メーカーが一時期、商品の名称の由来はドラマの紋次郎だと説明していたことも考慮し、著作権侵害を認めた。
会社側は「紋次郎いか」は全国の駄菓子屋で売られる人気商品だとし、作者側は商品を認識した上で黙示的に許諾をしていたと訴えた。しかし、判決は「『紋次郎いか』は珍味に当たる商品。作者側が認識していたとは推認できない」と退けた。
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1審判決は、イラストは「江戸時代の渡世人の姿としてありふれている」として、著作権侵害を否定していた。【安元久美子】
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