
USBを電源に使用する機器が増えていますが、それぞれの機器にとって適切な充電環境かどうか、しっかり確認しておきたいところです。特に最近は急速・高速充電に対応したスマートフォンなども増えており、より最適な充電環境を構築することは、バッテリーの寿命を少しでも伸ばすためにも重要と言えます。
今回は「USB充電器」について、筆者自身がもし購入するなら、どのような視点から、どのような製品を選ぶのかを考えてみたいと思います。
●古いiPhone同梱のUSB充電器が古すぎる!
筆者は長い間、6ポート・30Wの充電器を愛用していましたが、どうやら折りたたみ式のコンセント部分が内部で断線してしまったようで、充電に使用できなくなってしまいました。具体的には、カシムラの「AC-038」という製品です。多数のUSB機器を同時に充電できるので、大変助かっていましたが、最近は複数デバイスを接続していると、スマホの充電に時間がかかるのが気になっていたので、買い替えにもちょうどいいタイミングでした。
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さしあたって現在は、手元にある1ポートのUSB充電器を電源タップに多数さして、それぞれで充電している状態です。そこで気づいたのが、iPhone用の充電器の古さです。筆者の手元にあるApple純正のUSB充電器は、おそらく昔使用していた「iPhone 6s」に同梱されていたもので、型番は「A1385」とあります。出力は5V・1Aつまり5Wです。筆者が現在使用しているiPhoneは「iPhone 12 mini」という新しくはないモデルですが、この辺りのモデルから充電器が同梱されなくなっており、6sに付属の物を引き続き使っていましたが、どおりで充電が遅いはずです。
iPhone 12 miniを高速で充電するには20W以上の充電器が必要。しかし、そのほかの手持ちの充電器も軒並み10W程度……。少なくとも20W以上、できれば、メインで使用しているXperia 1 VIIも急速充電できる、30W以上のものを狙っていきます。
ポート数に関しては、多いほうが便利ではありますが、スマホの充電をメインと考えると、高出力のものでなければ高速で充電したいという願いはかないません。1ポートであれば30Wクラス、2ポート程度であれば65Wクラス、4ポート以上であれば100Wぐらいを目指したいところです。筆者はUSB充電のノートパソコンを使用していないので、本来はそれほどの出力は不要なのですが、2台のスマホを同時に高速で充電したいシーンもあるため、仕方のないところです。
高速充電にこだわるのは、スマホのバッテリー寿命のためです。バッテリーの寿命を延ばすためには、20%〜80%の範囲で充電し、過充電・過放電を防ぐことが重要とされています。筆者は就寝時にスマホを充電するのが習慣になっていましたが、それでは毎回過充電になってしまいます。起きている時間に、気付いたらその都度、80%程度まで充電するのが得策のはず。そのためにも、高速で充電できるパワフルな充電器を入手するのが筆者の今回のミッションです。
●USB充電器といえばとりあえず「Anker」|Anker Zolo Charger(30W)
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まずは1ポートでいい製品を探してみます。USB充電器のブランドといえば「Anker」が頭に浮かびます。Ankerは独自の急速充電技術「PowerIQ」を導入しているほか、充電器の小型・ハイパワー化を実現する窒化ガリウム(GaN)素子を早くから採用するなど、USB充電器においてはトップクラスの先進性を誇るブランドです。
Ankerの30W・1ポートの現在の最新モデルは、2025年5月22日発売の「Anker Zolo Charger(30W)」。USB Power Delivery(PD)対応の最大30W出力モデルで、もちろんiPhoneシリーズへの急速充電が可能。例えば、iPhone 16を0%から50%まで約26分で充電できるとされています。コンパクトさも大きな特徴で、一般的な30W出力の充電器と比較して、約60%の小型化を実現しているといい、持ち運びにも便利そうです。
高出力でも安全性を確保しており、従来の多重保護システムに加えて、「Active Shield 2.0」によりさらなる安全性を実現。常に温度を計測し制御し、機器を24時間守るとされています。ハイパワーな急速充電器は熱を持ちやすい傾向があるので、ありがたい性能と言えます。
Ankerの公式オンラインストアでの価格は2990円(税込、以下同)。低出力のものなら100円ショップなどで330円程度で買えることを考えると高い気はしますが、大手ブランドの高速で安定した製品ですし、すぐに買ってもいいかな、と感じます。なお、Ankerの1ポート・30Wのモデルには「Anker 511 Charger(Nano 3, 30W)」や「Anker 711 Charger(Nano II 30W)」といった製品もあります。Ankerの過去のモデルはAmazonなどでセール対象になることも多いので、そちらを狙う手もありますね。
●国内ブランドならではの安心感|エレコム AC10367シリーズ
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長らく複数ポートの充電器を使ってきたので、1ポートの充電器では、特に外出や旅行の際には不安を感じてしまいます。複数ポートのモデルも探してみることにしました。比較的高価なAnkerのものもいいですが、国内ブランドにも目を向けてみましょう。
国内ブランドの充電器といえば、エレコムやサンワサプライ、バッファローといったブランドが思いつきます。エレコムの「AC10367」シリーズは、USB Type-C×2、USB Type-A×1の3ポートを備えた65Wクラスのモデル。2ポート同時接続時は10W〜45W、3ポート同時接続時は10W〜40Wでの出力が可能。スマートフォンやタブレット、ワイヤレスイヤホン、電子タバコなどのデバイスを同時に充電できます。
Type-Cポートを2つ使用する際には最大45W+20Wで充電できるので、筆者のXperiaとiPhoneを同時に高速充電することもできそうです。他にType-Cポート×3のモデルもありますが、Type-Aにしか対応していないケーブルや機器も多数所有しているので、すべてCポートのモデルはまだ少し怖いところです。
エレコムダイレクトショップでの価格は3790円。3ポートの65Wモデルながら、Ankerの1ポート30Wとさほど変わらない価格というのはお得感もあります。国内ブランドの製品ですので、安心感まで含めると、もうこれでいいかなと思ってしまうモデルですね。
●迷わず購入してしまった馴染みのブランドの充電器|多摩電子工業 PR-AP160UC3
エレコムのモデルは3ポート・65Wでも手を出しやすい価格でしたので、さらなる上のモデルも見てみましょう。ふと目に入ったのは多摩電子工業「PR-AP160UC3」、4ポートのPD100W対応モデルで、価格も3340円と手ごろ。さしあたって、すぐに新しいUSB充電器が欲しかったので、こちらを購入しました。
長時間の外出や旅行を考えると、1ポートのUSB充電器を何台も持参するのはかさばるし、確保できるコンセントの数にも不安があります。こちらのモデルはUSB-C×3、USB-A×1を備えているので、筆者のXperiaとiPhone、iQOSに加えて、同行者のスマホまでカバーできます。気になるパワーのほうも100Wモデルなので、以前使用していた30Wのものとは比較にならないほど安心できます。
個人的には多摩電子工業というメーカーに思い入れがあるのも決め手でした。同社はワイヤレスイヤフォンやハンディファン、モバイルバッテリーや充電器など、「ちいかわ」モデルの機器を多数展開しており、ちいかわ好きの筆者にとってはなじみ深いメーカーです。加えて、同社は筆者の居住する川崎市に本社を構えており、親近感もあります。
早速使ってみたところ、高速充電の性能は満足できるものでした。Xperia 1 VII、iPhone 12 miniともに、30%程度から80%超まで、数十分程度で充電できました。この様子であれば目標は達成したと言えます。重量が約230gで、使っていた30Wのものが115gであったため重く感じますが、逆に高級感と安心感があるとも言えます。とりあえずはこちらをメインとして使用しながら、さらなるポート不足を感じたら、上の2製品も試してみたいと思います。