画像提供:マイナビニュースJR東日本と三菱電機は25日、三菱電機で開発を進めている小型軽量化・省エネ化を目的とした次世代車両駆動用インバータ装置(次世代VVVFインバータ装置)2台を2026年2月頃まで山手線のE235系1編成で試験的に搭載すると発表した。
三菱電機が開発を進めている次世代VVVFインバータ装置は、機器の小型軽量化を図りつつ、駆動エネルギーの削減(省エネ化)を目的として、長年にわたる技術の蓄積と最新技術を融合しているとのこと。現行のE235系におけるVVVFインバータ装置はSiC(シリコンカーバイド)素子を使用しているが、次世代VVVFインバータ装置ではSiC素子の半導体チップ構造とパッケージ構造を最適化した最新のSiC素子を採用することにより、素子単体でのスイッチングロス(素子動作時に失われる電力)を約60%低減。省エネ化を実現するという。
SiC素子のスイッチングロス低減で素子の発熱を抑えられ、素子を冷却する冷却器の小型化も可能に。装置を構成する各部品の配置を刷新し、より効率的な構成として高集積化を図ることで装置の小型軽量も可能となった。これにより、従来機器と比べて約60%の体積低減、約50%の質量低減を実現するとしている。VVVFインバータ装置の小型軽量化により、装置の取付方法にスライドレール方式の採用も可能に。艤装作業時の負担軽減・安全性向上も実現する。
将来像としては、次世代VVVFインバータ装置の開発で車両全体の重量低減を可能としたほか、SiC素子のスイッチングロス低減で鉄道車両の省エネ化に寄与。VVVFインバータ装置の小型化も実現し、よりフレキシブルな搭載が可能となり、車両形式や編成構成によらず床下艤装の最適化が図られる。これにより、空いた艤装スペースに新たなサービス機器を搭載することが可能になるほか、車両のモニタリング機能を拡充する装置を搭載することで、車両故障等を予見や故障防止を図ることも可能になる。
今回の小型軽量化技術は、異なる車両駆動システムを使用している車両(交流車両・ハイブリッド車両・蓄電池駆動車)等にも応用が可能。とくにハイブリッド車両等は客室スペースにも機器が搭載されているため、それらの機器を空いた床下スペースに搭載することで、客室スペースの拡大や座席数増加なども実現するという。
山手線のE235系に搭載する次世代VVVFインバータ装置は、2026年2月まで制御状態やメンテナンス性の確認など行う予定となっている。(木下健児)