AIスピーカーフォンの新作「Insta360 Wave」を試す 面倒な議事録作成の特効薬になりそう

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2025年09月26日 20:11  ITmedia PC USER

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独自の音声認識/要約AIサービスと連携する「Insta360 Wave」

 ステイホームとはもう昔のこと。リモートワークにカジを切った企業が次々と出社を求める働き方に切り替え、時代は元通りになった──と思いきや、映像と音声を通じたオンライン会議は、ビジネスにおいて有効な手段として現在も多用されています。


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 そして、通常の会議やオンライン会議の議事録を短時間で作ってくれるサービスも増えてきました。特に生成AIによる技術の進歩はすさまじく、会議が終わったらすぐに録音した音声をAI活用のサービスに読み込ませれば、誰が何を話したのか話者ごとに認識して要約してくれます。ミーティングの内容を俯瞰して確認できるため、その手間のかからなさに感激している人も多いでしょう。


 とはいえ、1つ課題があるのも事実。それは参加者全員の声を明瞭なまま捉えられるハードウェアをしっかりと用意して環境を整える必要があることです。


 そんな中、360度カメラでおなじみのInsta360が新たに発売する「Insta360 Wave」は、その課題を一気通貫で解決してくれるものとなりそうです。価格は4万4800円です。


●「Insta360 Wave」開封&起動ダイジェスト動画


 質感や手触りが伝わりやすいように、開封の模様をASMR風の動画で撮影しています。もし気に入った場合は、高評価やチャンネル登録もよろしくお願いします。


●Insta360が手掛けるスピーカーフォン コンパクトだが音量は十分


 Insta360 Waveはいわゆるスピーカーフォンで、会議室にいる参加者全員の声をマイクで捉え、オンラインでつながっている相手の声をスピーカーで聴かせてくれるものです。全員の声を一括して録音し、さらに「Insta360 InSight」という独自のサービスと連携させれば、文字起こし/議事録生成まで行えます。


 従来のスピーカーフォンは平べったい形状のものが大半でしたが、Insta360 Waveは縦長スタイルです。会議をする場所に合わせて持ち運びやすいサイズとなっています。面白いのは電源を入れると本体が変形し、電源を切ると元通りになるというギミックを搭載しているところ。とはいえ、スピーカーの構造を考えると納得がいくものです。


 本体の電源を入れて展開してから、改めて下からのぞいてみると、底にはスピーカーユニットがありました。側面には2基のパッシブウーファーユニットが備わっています。


 低音はボディーの側面から発して広げ、中高域の音は真下に向かって放ち、後述するディスプレイ部に当てて拡散するのでしょう。この方式であれば、スピーカーユニットのサイズが小さくても大丈夫です。エンクロージャーとなる本体内部にも空気室の余裕があるのでしょう。


 音を鳴らしてみると、サイズ以上のボリュームと音のキレがあります。特に声は鮮やかに滑舌良く鳴らしてくれるもの。ノートPCのスピーカーでオンラインミーティング相手の声を鳴らすと聞き取りにくいことがありますが、Insta360 Waveなら聞き漏らすことが減るでしょう。


 音楽を鳴らしても十分なパフォーマンスを発揮します。誰もいないオフィスや自宅であれば、ボーカルを際立たせるオーディオスピーカーとしても使いたくなりますね。


●マイクの集音範囲は半径5mほど


 マイクは上部に4つ、中央部くらいに4つ、計8つのユニットが組み込まれています。ボーカルマイクのような大面積のダイヤフラムを使ったものではなく、イヤフォンマイクなどで使われる超小型のシリコンマイクユニットが使われているのでしょう。


 指向性は無指向性、単一指向性(カーディオイド)、超単一指向性(スーパーカーディオイド)、双指向性、ステレオから選べます。


多くの参加者がいる会議室なら無指向性にしてテーブルの真ん中に設置しましょう。個人用のマイクとして使うなら、単一指向性か超単一指向性、1対1で対面で話すときは双指向性、音楽演奏などを収録したいのであればステレオの設定が向いています。


 集音範囲はInsta360 Waveから約5mの範囲となります。10〜15人が入れる中規模会議室でも使えるスペックですね。


●ノイズ低減の効果は絶大 これは頼りになるマイク


 実際に、6人が入れる会議室でテストしてみました。Insta360 Waveはあえてテーブル中央ではなく、ノートPCと共に端にセットしています。そこからノートPC内蔵マイク/近距離、ノートPC内蔵マイク/遠距離、Insta360 Wave/近距離、Insta360 Wave/遠距離で話した声を録音しました。


 ノートPC内蔵マイクは自然な音として捉えられる反面、「ゴー」という空調のノイズも捉えてしまっています。またノートPCから離れると声の音量が減ってしまうのも難点でした。


 その場にいる人とだけ話しているのであればいいのですが、オンライン会議で遠方の人ともコミュニケーションをとる際は、「◯◯さん、話すときはPCに近づいてくれませんか?」といわれてしまうかもしれません。


 Insta360 Waveの方はどうでしょうか。録音した音声を確認してみると、周囲のノイズはほとんどカットできていました。これはうれしいポイントです。声の質感はノイズリダクションの影響があるのか、サ行の声がやや目立ちますが、低域もしっかりと捉えています。また離れた位置から話しても、音量をしっかりとブーストしてくれています。


●AI文字起こし/議事録はブラウザからもアクセスできる


 もう1つの重要な機能であるAIサービスとの連携ですが、クラウドサーバにアップロードするタイプです。自動要約をオンにしておくと、録音終了後にすぐ作業を開始してくれます。


 なお、Insta360 Wave自体がネットワークと接続されている必要があります。Insta360 Waveには下部にタッチスクリーンがあるのですが、ここからWi-Fiのパスワードを入力するのは難しいため、専用アプリから設定しましょう。


 Insta360 InSightは有料のサブスクリプションサービスのようです。Insta360 Wave接続時に1カ月1200分まで利用できるProプランが開放されますが、記事執筆時点ではメンバーシップの詳細ページにアクセスすることができず、1年などの期間限定のものか、永続的に使えるものかは分かりませんでした。


●ドングルを使ったワイヤレス接続も可能


 バッテリーを内蔵したInsta360 Waveは、ワイヤレスでの運用も可能です。専用の通信ドングルが付属しますが、これがUSB Standard-Aの形状となっています。Windows環境での利用者が多いと判断してのことでしょうか。


 なおUSB Standard-A to Cの変換コネクターも付属しているので、MacBookユーザーでも安心して使うことができます。


 Insta360 Waveのハードウェアおよびサービスも含めた全体を通しての印象ですが、扱いやすいソリューションであると感じました。ただし、いくつか気になるところがあったのも事実です。


 その1つは、専用アプリのインストール方法が分かりづらいこと。Insta360 Waveのストレージ内にインストーラーが入っているのですが、USBの設定をファイル転送モードにする必要があるのです。初期設定の案内で設定変更の手順が表示されなかったため、最初の段階で戸惑うユーザーがいるかもと感じましたね。


 またUSBなどで接続しているのだから、録音したデータはPCに転送し、そこからクラウドにアップロードしてほしいとも感じました。オフィス/会議室によってはWi-Fiのアクセスポイントを切り替える必要がありますが、全ての接続設定を行う手間は少々厄介です。可能であれば、ソフトウェアのアップデートで改善してほしいですね。


 また、今回は実際に試していませんが、本体上部に「Insta360 Link 2/2C」を固定してシームレスに連携させられるようです。


(製品協力:Insta360 Japan)



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