PTAの最大壁「矛盾」を解消! LINEで変わる運営と参加。共働き家庭の負担を軽減する新ツール

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2025年09月26日 21:51  All About

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多くの保護者の悩みの種となっているPTA。活動の負担が大きい印象が強く、慢性的な担い手不足が課題となっています。このPTAの「モヤモヤ」に対し、当事者である子育て世代の起業家がPTA向けWebサービスをリリース。気になるその中身とは?
子どもたちの健やかな成長を願って、保護者、学校、地域が協力し合うPTA。コロナ禍を機に活動が見直され、入退会が自由な任意加入制に移行するなど、活動の効率化・簡素化が進んでいます。

しかし、共働き家庭の増加にともない、

・役員・委員のなり手不足が慢性化している
・平日昼間の活動が多く、参加へのハードルが高い

といった「参加のしづらさ」に加え、

・連絡手段が紙中心で非効率的だ

という「運営の課題」も残っています。

PTAの課題を解決するWebサービスが新登場

こうしたPTAの課題を解決するため、2025年9月、株式会社Comunii(コミュニー)がPTA向けWebサービス「Comunii for PTA」をリリースしました。

このサービスは、「保護者が納得し、楽しんでPTAに参加できる情報発信や運営をサポートする」をコンセプトにしています。

開発のきっかけは「リアルなPTA体験」

「Comunii for PTA」を開発を進めたのは、同社代表でNTTドコモ出身の上田真実子さん(中学生と小学生の母親)です。

上田さんは自身のPTA役員経験について、「最初は『誰かがやらなきゃ仕方ない』という気持ちで引き受けました。でも、仲間と協力するうちに、PTA活動も子育ても楽しくなったんです」と語ります。

一方で、紙のお便りや日中の会議など、共働き家庭が参加しづらい仕組みに強い疑問を感じました。「やってみたら楽しい」と感じる人がいるのに、活動前は「積極的に関わりたい」と思う人がほとんどいない。

その矛盾こそがPTAの最大の壁だと感じた上田さんは、「誰でも簡単に、スマホひとつで情報発信や運営を」を合言葉に、2人の仲間と子育て世代の目線で開発を進めました。

「Comunii for PTA」の特徴と機能

「Comunii for PTA」の大きな特徴は、「LINEベース」であること。新しいアプリのインストールに抵抗を感じる保護者でも、使い慣れたLINEから簡単にアクセスできる仕組みです。

主な機能は以下の通りです。

■入会時の魅力発信
テンプレートを使って、PTAの楽しさが伝わる紹介画面を簡単に作成できます。
紹介画面が簡単に作れる!

■入会受付・会員管理
入会希望者は公式LINEからワンタップで入会登録が可能。本部役員のみがアクセスできるデータベースがLINE外で準備されており、集めた情報を安心して管理することができます。

■お手伝い募集
運動会やイベントの準備・片付けなどのお手伝い募集をLINEで配信。学年・クラスなど対象者を絞った配信や、状況に応じて追加募集やリマインド機能も利用できます。

■お知らせ配信
懇親会やイベントのお知らせなどをLINEで配信。こちらも対象者を絞って配信できます。

今後は、PTA活動をリアルタイムで発信する「デジタル掲示板」も開発中とのことです。特別なスキルは不要で、スマホだけで手軽に活動の様子を発信できます。(※詳しいサービス内容・料金・無料トライアルについては、PTA限定の個別相談会で案内)

実際に導入したPTAの変化

2024年度から「Comunii for PTA」を導入している、大阪府高槻市立桃園小学校PTA会長の高木祐樹さん(在籍児童数:714名)にお話を伺いました。(※高木さんの高ははしごだか)

今年でPTA会長5年目の高木さんは、2023年度から任意加入制を導入し、現在の加入率は約60%。「子どもたちのため、できる時にできる人ができることをやる」というポリシーのもと活動しています。

「以前は紙での情報発信が中心で、PTAのホームページも活用していましたが、ホームページに活動報告やお知らせを掲載後、『ホームページに掲載しました』という周知が必要でした。

また、会員管理もエクセルで行っていたため、新学期の入力作業が大変だったんです」と高木さん。

「Comunii for PTA」を導入した最大のメリットは、「届けたい情報を、必要な人だけに届けられるようになったこと」だと言います。さらに、「紙の配布がほとんどなくなり、印刷代などの費用が大幅に削減できました。

入会した保護者の個人情報も本人の承諾のもとで管理できるようになったので、作業負担が圧倒的に減りました」とのことです。

サービス導入後、お手伝い募集への参加者が増えた一方で、参加メンバーが固定化しつつあることが今後の課題だと言います。

「今後は、高学年の保護者向けに中学校進学準備の懇親会を開催するなど、ニーズに即した活動に力を入れながら、少しずつ裾野を広げていきたいです。また、父親の参加を呼びかけるなど、多様性にも配慮しながら、より参加しやすいPTAを目指したいと思います」

これからのPTAに必要なこと

Comunii代表の上田さんは、こう語ります。

「子育ては『孤育て』になりがちですが、本来は人とのつながりの中で安心感を得られるもの。PTAという場が、親も子も暮らしやすい社会を築くためのコミュニティのハブになれば」

PTAの課題は、ひとつの学校や家庭だけで解決できるものではありません。

しかし、自分たちがどんなPTAを目指し、どんな活動を行っていくのかを十分議論したうえで、「Comunii for PTA」のような仕組みを取り入れ、コミュニケーションのしやすさや情報のわかりやすさをアップデートすることで、保護者が自然と参加したくなるような意欲を引き出せる可能性を感じます。

PTAは「負担」ではなく、「楽しさを共有する場」へ。「やらされ感」から「やってみたい」へ。その一歩を踏み出せるツールの登場です。
(文:長島 ともこ( 子育て・PTA情報ガイド))

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