キリンビールは9月25日、東南アジア市場を攻略するため、マレーシアに新会社「KIRIN BREWERY SOUTHEAST ASIA SDN.BHD.(以下、KBSEA)」を設立し、10月1日から事業を開始すると発表した。
キリンビールによると、日本を含む先進国ではアルコール消費量が減少する一方、東南アジアなど新興エリアでは人口増加や経済成長に伴い、市場が拡大する見通しだという。新会社KBSEAを東南アジアにおける地域本社として設立し、現地ニーズに合わせた商品投入やマーケティングを推進する方針だ。
「ICHIBAN」などのビール類、チューハイ「氷結」をはじめとするRTD(Ready To Drink:フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料のこと)、国産洋酒「富士」の3カテゴリーを展開する。現地の販売代理店との関係を強化し、日本の新商品と連動した輸出体制などを整えていく。
●アジア・北米・オセアニアも最重点エリアに設定
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世界の人口比やGDP比を踏まえ、アジア・北米・オセアニアも最重点エリアに据え、ビール、RTD、洋酒の3分野でラインアップを強化する。
アジアでは、中国での現地製造や日本からの輸出を通じてシェア拡大を狙う。台湾など、日本と嗜好が近く、ジャパンクオリティーを求める市場では、「晴れ風」「キリン一番搾り ホワイトビール」のテスト販売を実施し、本格展開を見据える。業務用の商品展開も進める。韓国では、現地の酒類メーカーHITE JINROと販売面で連携を強化。中国では大陸全土をカバーするECで販売を拡大させる計画だ。
北米では、現在「ICHIBAN」などのビール類と「富士」の2カテゴリーを展開している。ビール類は、キリンホールディングス(HD)傘下の子会社を拠点に現地製造しており、販売を増やす方針だ。「富士」は、現地の大手卸売り業者と連携し、3年をめどに北米全土への配荷を目指す。今後、「氷結」の販売も検討していく。
オセアニアでは、2023年から「氷結」の現地製造・販売を開始しており、現地向けレシピの開発やフレーバー展開を進めてきた。「氷結」はニュージーランドで、「ICHIBAN」は豪州で販売が好調だそうだ。「富士」は空港免税店や酒卸店を中心に販路を拡大していく。
●海外売上比率を7%→20%へ
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キリンビールの海外事業はコロナ禍でも成長を維持し、過去10年間で事業規模は2.7倍に拡大。2024年度には過去最高売上を記録した。今後も成長を見込み、海外売上比率を2024年の7%から、2035年までに20%に高めることを目標に掲げる。現地発のキリンブランド商品の展開も進める方針だ。
キリンHDは、2011年にブラジルに進出したが、わずか6年で撤退した。キリンビールの堀口英樹社長は、海外展開のリスク回避について、「最初から大きな投資をするのではなく、グループ会社との協業や社外のパートナーとの契約に基づく事業を行っていく。初期投資をあまり大きく持たずに、販売網を整えていく」と説明。
「素晴らしい商品、自信のある商品を国内のみならず海外のお客さまにも知っていただいて、それを通じて生活を豊かにしたい。そういった夢の第一歩になった。とてもうれしく感じている」と語った。
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