<阪神6−2中日>◇26日◇甲子園
阪神石井大智投手(28)が、史上最強リリーバーの称号を手にしようとしている。リフレッシュ休養を経て、今月の7日のリーグ優勝決定以来、中日戦で19日ぶりに1軍復帰。4点リードの9回に登板して2奪三振を含む3人斬りで試合を締め、藤川球児監督(45)を抜いて48イニング無失点の球団新記録を打ち立てた。プロ野球新記録の連続試合無失点も49に更新。虎が誇る0魔神が球界史上初の防御率0・1台フィニッシュでCSに向かう勢いだ。
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満員の観客に見届けられ、石井がまた藤川球児を超えた。4点リードの9回。10球中8球で直球を選択し、打者3人を力で制圧した。150キロ台連発で、現役時代の指揮官をほうふつとさせる圧巻のオール火の玉斬り。失点の気配すら感じさせず、9回を締めた。
「監督がそういう環境を整えてくれて、こういう結果につながった。プラスに捉えて、次に向けてしっかり準備していきたい」
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リーグ優勝を決めた7日広島戦以来19日ぶりの1軍。2者連続空振り三振を奪い、最後は代打ブライトを右飛に仕留めた。藤川監督を超え、球団新記録となる48イニング連続無失点。現在49試合で日本記録を更新中の無失点試合に続き、またも指揮官の壁を超えた。
投げるたび無失点記録を更新した今季。いつも納得の表情は見せなかった。理由のひとつが「諦めた自分」がいたことだ。緊迫した場面を任される中、選んできたのは「投げたい球」より「抑えられる球」。リスクを踏まえ、慎重に1球1球を選んできた。結果につながった一方、理想の投手像との違いを感じていた。
「野球をやっていたら『誰もかすりもしない真っすぐを投げる』とか圧倒的に抑えたい。その理想を捨てて結果を出す選択をしてきた。でも野球人としてそこは求めていかなければいけない。僕は臆病なんです」
藤川球児が理想の投手だった。球宴での予告ストレートで主砲カブレラから空振り三振を奪うなど、圧倒的なスタイルに学生時代から魅了された。だからこそ、憧れの投球内容で記録を重ねた指揮官と今季の自分に差を感じていた。
「空振りを取りにいって、空振りするわけだから。やっぱり憧れていたし、だから記録も何も思っていない。数字だけなんです」
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迎えたこの日、直球中心の“圧投”で理想に近づき、記録を更新した。藤川監督も喜んだ。「現役選手が超えてくれるのは指導者冥利(みょうり)に尽きる」。8回岩崎、9回石井の起用については「向かっているところがありますから」とCSに含みを持たせた。
石井自身も伸びしろを感じている。究極を求め進化を続ける。【波部俊之介】
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