
まめに洗濯しても、白Tシャツがだんだん黄ばむ……。洗濯に詳しい家事のプロは「黄ばみは時間がたつと取れにくくなるので、気づいたら早めに漂白を」とアドバイス!自宅でできる白物衣類を“とことん白く”洗うテクをご紹介。
洗剤については少なすぎても、反対に多すぎてもダメ
Tシャツやブラウスなど、夏の間、出番の多かった白い衣類。ちゃんと洗濯していたはずなのに、気づいたら首元や袖、脇に黄ばみが! 全体的になんとなく白さがなくなりくすんできた感じ……。
「黄ばみの主な原因は、身体から出る皮脂や汗の汚れです。毎日の洗濯でそれをしっかり落とせず、残留したまま日光に当たると、酸化して黄ばみとして現れます。特に夏場は湿気も多く、汗をかきやすいので変色しやすい。日焼け止めや制汗スプレーの洗い残しも首回りなどの黄ばみのもとになります」
そう話すのは、家事アドバイザーの矢野きくのさん。白い衣類だけではなく、色柄ものや濃い色の衣類でも、洗い残しがあれば同じように変色してくる。
現代の洗濯機は優秀で、洗浄力も高いが、洗濯のやり方によっては汚れ落ちが悪くなっってしまう。
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「1回の量が多く、洗濯物を詰め込みすぎると、回転するときに適度なスペースがなくなり、洗浄力が低下します。洗剤については少なすぎても、反対に多すぎてもダメ。どちらも汚れが残ってしまい、黄ばみにつながります」(矢野さん、以下同)
衣類の黄ばみを効果的かつ簡単に落とす方法が、洗濯槽でできるつけ置き。
「高濃度の洗濯液につけることで、繊維の奥まで洗剤が浸透します。洗う際に水量を増やせば洗剤は適量になり、洗剤残りの心配もありません」
Tシャツやブラウスなど、白い衣類を洗う際、洗濯前30分のつけ置きを習慣にすれば、白さをキープできる。また、襟や袖口に目立つ皮脂汚れがあるなら、固形の洗濯石けんや襟袖用の洗剤を塗り、もみ洗いをしてから洗濯機へ。
その後、洗濯機を回す際は、洗濯物の量にも注意したい。
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汚れを落とし切れずに収納すると、酸化が進んで黄ばみやすい
「洗濯機の性能を最大限活用するためには、洗濯物の詰め込みすぎはよくありません。容量は洗濯槽の7割以下を目安にしましょう。黄ばみを落としたいなら、衣類を裏返すのが基本。皮脂や汗、日焼け止めなどを残すことなく落とせるように、汚れた面を外側にしてから洗濯機に入れるのも忘れずに」
黄ばみを落とそうと、白物以外の衣類に塩素系漂白剤を使うのは当然NG。
「漂白力が強いので、白物以外に使うと色が抜けてしまいます。例えば、ロゴ入りの白いTシャツは、ロゴ部分が脱色してしまう可能性も。塩素系漂白剤で黄ばみを解消するときは、色柄のない真っ白な衣類にのみ使用します」
夏の終わり、衣替えでしまったときはキレイだったお気に入りの白い服が、翌年、春に再び取り出したら、黄色くなっていた……という経験はないだろうか。時間差で現れるこうした黄ばみは、どう防いだらいいのか。
「汚れを落とし切れずに収納すると、酸化が進んで黄ばみやすいのです。大事なのはシーズン終わり、白い衣類すべてをつけ置きして、汚れを落とし切ってからしまうこと」
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矢野さんが漂白におすすめするのは、安価で使いやすい「過炭酸ナトリウム」だ。人気の「オキシクリーン」などの酸素系漂白剤の主な成分で、100円ショップや無印良品などでも安く手に入る。
「過炭酸ナトリウムをお湯で溶かした洗剤液は、嫌なニオイの改善にも効果的。ポイントは、衣類を洗濯してからつけ置きをすること。皮脂や汗の汚れがあるままだと、過炭酸ナトリウムの成分が十分に浸透しません。必ず洗濯してキレイになった状態の衣類でやってみてください」
衣替えのタイミングだけでなく、普段からこのつけ置きをやっておくと、さらに黄ばみ予防に効果的。つけ置き後に洗濯し、風通しのよいところでしっかり干して乾燥させたら、除湿・防虫剤を入れて衣類を収納する。
「わが家ではこの方法で夏物の汚れを落としてからしまっています。だから安いTシャツでも黄ばみなし! 余裕で10年は着続けています(笑)」
収納はしっかり洗ってから
ほかにも変色しがちな帽子や日傘など、夏の小物もメンテナンスしてから収納を。
「汗がしみ込んだ帽子は、濡らして絞ったタオルでたたくように拭いたあと、乾燥させます。洗える素材を洗濯機で洗うなら、調理用のザルに帽子をかぶせ、洗濯機にダメージを与えないようにタオルで包んでからネットに入れるとラク。
日傘も意外と汚れています。帽子同様に濡らしたタオルで拭いて。革素材のサンダルは固く絞ったタオルで丁寧に拭き、乾かします。ビニール素材のサンダルは洗剤を使い、しっかり洗ってから収納するといいですよ」
来年もお気に入りのアイテムをキレイな状態で着続けたいなら、正しい洗濯&収納テクで衣替えをしましょ!
過炭酸ナトリウムで全体的にすっきり 際立つ白さに洗っても取れない黄ばみにはこれ
洗濯しても取れない黄ばみには、衣類は漂白効果のある過炭酸ナトリウムを活用。衣替え前にすると、翌夏の“時間差黄ばみ”を予防できる
やり方 皮脂や汗を落とした衣類をつけ置きして漂白
衣類はあらかじめ洗濯をして、皮脂や汗などの汚れを落としておく。過炭酸ナトリウムを40度のお湯で溶かし、バケツかタライに30分〜1時間程度つけ置きし、洗濯機で洗う
高濃度の洗濯液でつけ置き! 洗濯前の習慣で黄ばみを防ぐ 汚れは予洗い後に本洗い
洗濯前のつけ置きで白さをキープ。ドラム式洗濯機の場合は、バケツや洗面器などで規定量の洗剤と少なめの水でつけ置き後に洗ってみて。
やり方 洗濯機の中で洗濯液を作って衣類をつけ置き
洗濯槽に衣類を入れ、給水を半量で止めて適量の洗剤を加え、濃い洗濯液を作り、洗剤がなじむ程度に洗濯機を回す。一時停止して30分くらいつけ置き後、通常どおり洗う。
※洗濯機の機種によってはつけ置きできない場合があるため、取扱説明書で確認を
取材・文/釼持陽子
矢野きくのさん 家事アドバイザー・All About節約ガイド。家事の効率化や家庭の省エネなどを専門に、テレビ、雑誌、講演などで活動。便利グッズや業務用食品などの情報にも精通。時短家事のプロ。