
磯崎 新《水戸芸術館》1988年 シルクスクリーン・プリント
Image by: ©️Estate of Arata Isozaki
茨城県の水戸芸術館が、2022年末に死去した建築家 磯崎新の没後、国内初となる大規模回顧展「磯崎新:群島としての建築」を開催する。会期は11月1日から2026年1月25日まで。
磯崎新は、1931年大分市生まれ。1954年に東京大学工学部建築学科を卒業し、1963年に磯崎新アトリエを設立。以後、国際的な建築家として、旧大分県立図書館(現アートプラザ)、群馬県立近代美術館、ロサンゼルス現代美術館、バルセロナオリンピック競技場などを設計した。近年では、カタール国立コンベンションセンター、ミラノアリアンツタワー、上海シンフォニーホール、湖南省博物館、中央アジア大学、中国河南省鄭州市の都市計画などを手掛け、2019年には建築界のノーベル賞と称される「プリツカー賞」を受賞した。また建築プロジェクトや都市計画にとどまらず、著作活動、芸術家や知識人とのコラボレーション、キュレトリアル・ワークを通じ、60年以上にわたって思想、美術、文化論や批評分野においても卓越した地位を確立した。
「群島としての建築」と題した同展では、単一の領域にとどまらない磯崎の活動を「群島」になぞらえて構成。「都市」「建築」「建築物」「フラックス・ストラクチャー」「テンタティブ・フォーム」「建築外(美術)」をキーワードに、建築模型や図面、スケッチ、インスタレーション、映像、版画、水彩画などのさまざまなメディアを通じて磯崎の軌跡を辿るとともに、自身が設計した水戸芸術館を舞台に、建築の枠を超えた磯崎の活動を俯瞰的に紹介する。
会場では、磯崎が東京大学丹下健三研究室所属時に関わった「東京計画1960」(1961年)などの初期作品群を含む国内外の代表作をはじめ、一人の建築家という枠を超え、複数の建築家を起用したプロジェクトなどを推進してきた建築界における功績、戦後日本美術や現代美術との関わりなどを紹介。また今回の会場でもある、画一的な近代建築を批判し、建築の根源的価値を再考するポストモダン建築の理念と実践を結実させた代表作である「水戸芸術館」(1990年3月開館)を出品作品の一つとして“展示”する。
■磯崎新:群島としての建築 Arata Isozaki:Archipelagos of Architecture会期:2025年11月1日(土)〜 2026年1月25日(日)開場時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー休館日:月曜日(ただし11月3日、11月24日、1月12日は開館)、11月4日、11月25日、年末年始(2025年12月27日〜2026年1月3日)、1月13日入場料:一般900円、団体(20名以上)700円高校生以下/ 70歳以上、障害者手帳などをお持ちの方と付き添いの方1人は無料※年齢のわかる身分証明書などが必要主催:公益財団法人水戸市芸術振興財団ゲストキュレーター:ケン・タダシ・オオシマ、五十嵐太郎、松井茂会場設計:日埜建築設計事務所企画:井関悠(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員)展覧会公式サイト