2018年の米政府機関閉鎖に伴い閉館した国立公文書館=ワシントン(AFP時事) 【ワシントン時事】米連邦政府の2025会計年度(24年10月〜25年9月)末が30日に迫る中、つなぎ予算案の議会通過のめどが立たず、予算切れによる政府機関の一部閉鎖が現実味を帯びている。来年の中間選挙を控え、与野党に妥協に向けた兆しは見られない。
上院は19日、下院で可決された与党共和党主導のつなぎ予算案と、野党民主党提出の案を否決。その後、トランプ大統領は民主党指導部との会談を「生産的ではなさそうだ」としてキャンセルし、閉鎖回避に向けた機運は失われた。
民主党はつなぎ予算案に、トランプ氏肝煎りの大型減税関連法で定められた低所得者向け医療制度「メディケイド」削減の撤回などを盛り込むよう強硬に主張している。ただ、民主党案では債務が今後10年で「1兆5000億ドル(約220兆円)増える」(米シンクタンク)との試算もあり、歳出削減を掲げる共和党は簡単には受け入れられない。
民主党は、トランプ政権と共和党が低所得者向け支援や海外援助、公共放送への助成などを一方的に削減してきたことに強く反発してきた。予算案の上院通過には、議事妨害(フィリバスター)阻止で一部民主党議員の「票」が必要なため、これを機に「医療を守る」(議会首脳)と攻勢を強める。
政府閉鎖に際しては、国防や国境警備などを除く緊急性の低い公的部門で職員が自宅待機となり、関連業務が停止される。社会や経済の混乱が予想され、政権だけでなく、民主党も閉鎖の責任を問われかねない。
過去の閉鎖では、国立公園の閉鎖や空港の混乱、経済統計の発表延期といったさまざまな影響が出た。労働省は来月3日、金融市場で最重視される雇用統計の発表を予定している。公表が延期されれば不透明感が強まり、市場の動揺を招く恐れもある。