Xiaomi Japanは9月26日、秋葉原で開催した新製品発表会でスマートフォンやタブレット、スマート家電など新製品21モデルを一挙に投入した。同社の鄭彦(テイ・ゲン)副社長は発表会後の囲み取材で、日本市場での通信事業者との連携について積極姿勢を示した。前世代でau・ソフトバンクが取り扱っていたTシリーズは今回は大手キャリアでの採用が見送られた経緯がある。
●SIMフリー市場で手応え、それでも「キャリアは必須」
「日本ではキャリアさん経由の販売が9割以上。われわれとしても継続的に議論をさせていただいて、ご一緒させていただきたい」――鄭副社長は囲み取材でこう強調した。
2025年に入り、オンラインと直営店限定で展開するPOCOブランドを含めて約8モデルのスマートフォンを矢継ぎ早に投入してきた同社。安達晃彦プロダクトプランニング本部長は「Tシリーズは年々SIMフリーとして販売できている台数がすごく増えている」と手応えを語る。
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前世代の14T Proから価格を据え置いたXiaomi 15T Proは10万9800円(税込み、以下同)からという価格設定だ。「10万円を大きく超すような商品ともスペック上は渡り合える内容になっている」(安達氏)。1TBモデルでも12万9800円に抑え、ストレージ倍増で1万円アップという戦略的な値付けをした。
それでもキャリア展開にこだわる理由について、安達氏は「日本のお客さんにしっかり届けるにはキャリアさんの力、それはもう取り組んでいく。ユーザーさんの携帯電話の買い方という購買行動はわれわれ1社だけではなかなか変えられない」と説明した。
今回もオープンマーケットモデルのみの展開となった理由について問われると、安達氏は「キャリアさんの戦略、ラインアップの考え方があり、今回は入っていないだけの話」と説明。一方で「キャリアさんで販売したくないわけではない。両者の話し合いで決まるところ」と、今後の可能性を示唆した。
なお、Xiaomiは自社の販売網としてXiaomi Storeの展開を進めているが、鄭氏は、自社の店舗が増えてもキャリアの販売網は必要との認識を示す。鄭氏によると、キャリアの採用が減っていることとXiaomi Storeの展開は「関係ない」とのこと。
●FeliCa搭載の決断、Apple製品とも連携強化
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今回のXiaomi 15T ProへのFeliCa搭載は、グローバル発表と同時に日本向けモデルをおサイフケータイ対応で投入するという同社初の試みだった。「お客さまの大きなユースケースであるおサイフケータイを日本のお客さまにお届けしたい。早期から開発側ともコミュニケーションして、何とかグローバル発表と同時という準備をした」(安達氏)。
ただし、全製品への搭載は見送った。「たくさん持っているラインアップ全てにおサイフケータイ入れていくのはやっぱり難しい部分があり、優先順位を考えたときにまずTシリーズにしっかり入れていきたかった」(安達氏)。下位モデルのXiaomi 15T(6万4800円から)はFeliCa非搭載となっている。安達氏は「ライカ共同開発カメラを搭載した最もお求めしやすいモデル」と価格優位性を強調した。
10月から展開する「HyperOS 3」では、MacBookからXiaomiスマートフォンのロックを直接解除し、スマホのアプリをMac上で個別ウィンドウとして起動できる機能を実装した。「閉じる世界でなく、いろいろなデバイスと便利に使っていただける世界を目指している」(安達氏)という。
●秋葉原で3日間の体験イベント、EV「SU7 Ultra」日本初展示
発表会は「Xiaomi EXPO 2025」と銘打った3日間のイベントの一環として開催された。会場のベルサール秋葉原には、2024年3月から中国で販売している電気自動車「Xiaomi SU7 Ultra」も日本初展示された。
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「Human×Car×Homeという全体のエコシステムの世界観がどういうイメージなのかを日本のお客さんにもお見せしたかった」(鄭氏)。将来的には「HyperOSで全製品を統合していこうと思っている。それによって全てのXiaomi製品で最適なユーザーエクスペリエンスが提供できる」という構想を描く。
ただし、日本での電気自動車販売については「日本の保安基準は非常に厳しく、1モデル目はその前提にしていなかった」と、まだ準備段階であることを明かした。日本のEV市場について鄭氏は「浸透率は2%程度しかなく、充電ステーションも少ない状況」と分析。「業界全体がその方向に徐々に変わっていくかどうかというところも注視しなければいけない。今は勉強している段階」と慎重な姿勢を示した。
●年内に東京23区内3店舗、2026年は関西・東海へ
小売展開では攻勢を強める。3月にオープンしたXiaomi Storeに加え、年内に3店舗を追加する。「2025年中に東京23区内」(鄭氏)での出店を明言し、2026年上期には大阪と名古屋への進出も決定している。
現在イオンモール内で2店舗を運営しているが、今後の出店戦略について安達氏は「イオンさんは大事なパートナーだが、イオンでしかやらないということはない」と述べた。立地、客層、経済条件を総合的に判断するという。
店舗展開を通じて「Xiaomiファンだけでなく、ファミリー層や他の分野に関心のある方にも広げていきたい」(安達氏)という。発表会と体験イベントを一体化させた今回の試みも、ブランド認知拡大への布石だ。
今回の発表会では、8.8型で165Hz対応の「Xiaomi Pad Mini」(7万4980円から)、2万パスカルの吸引力を持つロボット掃除機「Xiaomi ロボット掃除機 5 Pro」(10万8000円)、量子ドットMini LEDパネル搭載のチューナーレステレビなど21モデルを投入した。
15周年を迎えた同社は、2025年第2四半期に過去最高の成長を達成し、5四半期連続で前年比30%を超える成長を続けている。日本市場でもスマートフォンからスマート家電などのエコシステム全体へと事業領域を急速に拡大させており、通信事業者との連携実現が次の成長の鍵を握りそうだ。
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