
株式会社ドクタートラスト(東京都渋谷区)のストレスチェック研究所は、2024年度にストレスチェックを受検した1777の企業・団体における55万5956人分の集団分析データをもとに、ストレスの推移や健康リスクなどを調査した「2024年度ストレスチェック全業種データ分析レポート」を発表しました。それによると、高ストレス者が最も多い業種は「宿泊業・飲食サービス業」でした。
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「健康リスク」は、仕事のストレス要因から起こり得る疾病休業などの健康問題のリスクを、標準集団の平均を「100」として示したもの。たとえば、健康リスクが「120」の集団は、健康問題が起きる可能性が、平均より「20%多い」ことになります。「仕事の負担・コントロール」に関係するリスクと、「上司・同僚とのコミュニケーション」に関係するリスクをかけ合わせて算出しているといいます。
健康リスクを業種別に算出した「業種別・健康リスク総合ランキング」を見ると、健康リスクが高い順に「運輸業、郵便業」(104)、「医療、福祉」(100)、「宿泊業・飲食サービス業」(99)となった一方、健康リスクが低い業種は「不動産業・物品賃貸業」(85)、「公務」(86)、「情報通信業」(88)でした。
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業種別に「仕事の量・コントロール」リスクを高い順に見ると、「宿泊業・飲食サービス業」(105)、「生活関連サービス業・娯楽業」(104)、「医療・福祉」(103)という結果になりました。
また、「上司・同僚からのサポート」リスクでは、「運輸業・郵便業」(104)、「製造業」(101)、「サービス業」(99)で高くなっています。
次に、高ストレス者率を業種ごとに算出したところ、高ストレス者率が高い業種は「宿泊業・飲食サービス業」(19.3%)、「製造業」(17.3%)、「運輸業・郵便業」(16.2%)が上位となった一方、高ストレス者率が低かった業種は、「公務」(10.3%)、「分類不能の産業」(11.3%)、「学術研究・専門技術サービス業」(11.4%)でした。
業種別の高ストレス者率を2023年度と2024年度で比較すると、「宿泊業・飲食サービス業」(前年比1.1pt減)、「運輸業・郵便業」(同1.3pt減)、「卸売業・小売業」(同0.8pt減)などは23年度より減少しているものの、全国平均よりも数値が高くなっています。
さらに、5年前の2019年度と比較してみると、5年間で高ストレス者率が増加したのは全15業種中1業種(宿泊業・飲食サービス業)、減少した業種は14業種でした。
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なお、2019年度に較べて唯一高ストレス者率の増加した「宿泊業・飲食サービス業」における高ストレス者率の推移を見ると、2019年の14.1%から2024年は19.3%と5.2ptの増加となりました。