一次産業を変えるスタートアップ企業とともに、北海道電力が『NoMaps2025』に参加

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2025年09月29日 12:40  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
2016年から今年で10年目を迎えた、北海道札幌市で開催されている複合イベント「NoMaps(ノーマップス)」が、9月10日〜14日の期間で開催されました。テクノロジー、ソーシャル、クリエイティブなどを交差させた本イベント。今回、北海道電力がフード分野に参加すると聞きつけ、「エネルギー会社が食べ物!?」と期待を抱き、覗いてきました。


○■新鮮野菜が並ぶ「NoMaps2025」フード会場



会場前にはキッチンカー、会場内では産直野菜の販売、試食や試飲できるブースがあり、開場したばかりの時間にも関わらず多くの人でにぎわっていました。


○■鮮やかな緑が広がる北海道電力のブース



会場の奥にLEDの光を浴びる野菜たちを発見。近づいてみると、なんと北海道電力のブースでした。しかも農業や酪農についての紹介がされています。北海道電力 事業共創推進室の山上航平さんは、出展の経緯についてこのように話してくれました。



「弊社では、北海道のポテンシャルを活かしながら、エネルギー分野にとどまらず様々な分野における社会課題の解決や地域の発展に一層貢献していくため、2023年11月に『事業共創推進室』という新しい部署が発足しました。そして、2023年12月に循環型畜産ビジネスの実現を目指すGOODGOOD社に出資して協業を開始し、2025年6月には独自の環境制御技術を活用した省スペース・高効率な栽培ソリューションを提供するプランツラボラトリー社と資本業務提携をしまして、今回そのお披露目をかねて出展しました」(山上さん)


GOODGOODは、社会を良くするソーシャルグッドな事業開発をおこなっている次世代型畜産ベンチャー。熊本県の阿蘇町と北海道の厚真町に牧場があり、健康で快適な飼育を目指すアニマルウェアに準じた環境で牛や豚を放牧。家畜の糞尿が肥料となって、飼料となる牧草をはぐくむという循環型畜産を実践中だそうです。



GOODGOOD社のお肉は、生産から加工・卸売・小売までをワンストップで行っているそう。同社の木幡乙葉さんは「一般のお客様には主にネットで販売していますが、兵庫県西宮市にレストランと直販所があります。また、北海道厚真町には弊社の肉を使ったハンバーグ専門店もあります」と話してくれた。

○■水とLEDの光で野菜を栽培! プランツラボラトリー社の「PUTFARM」



北海道電力のブース横にあった野菜の棚は、明るい光に照らされ、きれいな水が循環していました。これはプランツラボラトリー社の小型植物工場「PUTFARM(プットファーム)」というもので、省スペース・高効率な栽培ソリューションを提供しています。プランツラボラトリー社 取締役 林覚さんににもお話をうかがいました。


「プランツラボラトリー社は、都市型植物工場として小型植物工場プットファームを中心に、独自の環境制御技術を活用した省スペース・高効率な栽培ソリューションを提供しています。このプットファームは、屋内で栽培するので、天候などに左右されず、農薬を使用せずに通年で安定して野菜やハーブなどを収穫できます」(林さん)



LEDの光が太陽の役目。土の替わりに水を使っており、独自の節水栽培技術により使用する水の量が極めて少ないため、環境に優しい設計になっているそうです。



「プットファームには、温度・湿度をそれぞれ独立して調整することができる空調システムを導入しています。冷却・除湿だけでなく加熱・加湿もできるので、環境を自由自在にコントロールできるのです。また、アルミ製の遮熱パネル『PUTPANEL(プットパネル)』が、建物の内外の熱の出入りを極力抑えるので、室内の空調のコストを抑えることが可能です。そのため、北海道のように冬の厳しい寒さの中でも、安定して野菜を収穫することができます」(林さん)



プットファームは、2023年に倶知安駅構内に「LEAFRU FARM 倶知安ニセコ」を開設。すでに自動車メーカーでも稼働しており、福祉施設や教育機関にも導入実績があるそうです。北海道電力では、社内でサラダの実証販売を行っているとのこと。企業の健康経営として置き型社食が注目を浴びていますが、そのメニューとしてサラダを展開できないかと考えているそうです。


さらに、山上さんは「北海道内外スタートアップ企業への出資や協業による事業共創を通じて、様々な分野における社会課題の解決や地域の発展に貢献していきたい」と話してくれた。


最初は、エネルギー会社が農業や酪農と事業共創するのにおどろきましたが、お話をうかがって新しい価値創造に取り組む企業姿勢に感心しました。北海道、そして全国の第一次産業がますます発展しそうで楽しみですね。



しだまゆみ しだまゆみ 学生時代に編集プロダクションでアルバイトをして、そのまま就職。かすかに版下と写植の存在を知っている。2000年よりフリーライター/エディター。地元企業の広報や採用にも携わる。最近はソーシャルビジネスに関心あり。 この著者の記事一覧はこちら(しだまゆみ)

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