「第2の詩織、つらい」=対応不備、警察は自覚を―川崎事件に桶川ストーカー遺族

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2025年09月29日 15:01  時事通信社

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時事通信社

取材に応じる猪野憲一さん(左)。隣は妻京子さん=12日、埼玉県上尾市
 元交際相手からストーカー被害を受け、川崎市内で遺体で見つかった岡崎彩咲陽さん=当時(20)。神奈川県警に被害を相談していたが、適切な捜査がなされないまま亡くなった。1999年の桶川ストーカー殺人事件の被害者猪野詩織さん=当時(21)=の父憲一さん(75)は「ものすごくショック。また第2、第3の詩織が出てしまったという気持ちで見ているからつらい」と語る。

 川崎の事件では、岡崎さんから相談を受けた警察署がストーカー規制法に基づく警告・禁止命令を出すことを検討したものの、その後事態は収束したと判断。神奈川県警は今月、不適切な初動対応や組織体制の形骸化があったとする検証報告書を公表した。

 憲一さんは同県警の組織体制について、「縦横の連絡がなかった」と批判。その上で、警察官としての自覚ある行動を取らなかったのが問題だと指摘し、「『絶対に助ける』という気持ちで、被害者に寄り添ってほしい」と求めた。

 報告書については、組織の問題点などを細かく触れているとして一定程度は評価し、「各都道府県警は報告書をきちんと見て、実践してほしい」と語った。

 ストーカー規制法は事件が起きるたびにたびたび改正がされてきたが、憲一さんは「法律をどんなに厳しくしようがストーカー被害は起きる」と強調。ストーカー加害者の治療やカウンセリングの受診率が低いことについても「強制的にカウンセリングをさせ、一般社会に出すことが必要だ」と話した。

 「相談件数が右肩下がりになるようにしたい。第2の詩織をつくってはいけない」との思いから、憲一さんは各都道府県警や警察学校で、ストーカー被害に関する講演を続けている。10月には福井県警で報告書公表後初の講演を行う予定だ。 

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