写真エルヴィス・プレスリーやザ・ビートルズの曲を大声で一緒に歌うことで、肺疾患の痛みが和らぐ可能性があるという。
豪メルボルンのモナシュ大学と英ケンブリッジ大学が行った世界初の研究、オンラインでのグループ歌唱療法で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および間質性肺疾患(ILD)患者の生活の質が向上したことが判明した。
オーストラリア全土の患者101名を対象とした今回の研究では、半数のグループが12週間の「シンフォニア」歌唱プログラムに参加。90分間のオンラインセッションでエルヴィスの「好きにならずにいられない」、ビートルズの「レット・イット・ビー」、第一次世界大戦中のイギリス軍歌「パック・アップ・ユア・トラブルズ・イン・ユア・オールド・キットバッグ」などを熱唱し、残りの半数は標準治療のみを受けた。
そして同研究の結果がオランダ・アムステルダムで開催されたヨーロッパ呼吸器学会で発表され、歌唱療法を行ったグループは生活の質調査で7.4ポイント高いスコアを記録。少なくとも8回のセッションに参加した患者では11ポイント高いスコアを示し、この差は「臨床的に重要な」ものと評価された。
モナシュ大学のナターシャ・スモールウッド教授は「慢性的な息切れはCOPDやILD患者にとって一般的かつ非常に苦痛を伴う症状ですが、安全で効果的かつ受け入れ可能な治療選択肢は不足している状況です。通常のケアと比較して、シンフォニアプログラムへの参加は生活の質の向上に繋がりました。特にほぼ全てのセッションに参加した患者において顕著でした」と説明、「呼吸制御の向上、社会的つながり、気分の改善」が効果の要因と推測されると続けた。
一方、ヨーロッパ呼吸器学会のアポストロス・ボッシオス博士は、非薬物療法の有効性を示す「蓄積される証拠」と評価。さらにイギリスの喘息・肺疾患協会のサラ・スレットCEOは「歌唱による呼吸制御とエンドルフィン放出が結果を裏付けている」と指摘し、「歌が助けになると感じたら、当団体の歌唱グループに参加できます」と話す。
同研究チームは、長期的な肺疾患と闘う患者にとって合唱は、医師が勧める治療法となり得ると結論付けていた。
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