ロンドンを拠点とするテクノロジーブランドのNothingが、新しいAIプラットフォーム「Essential」を発表した。生成UIを核とするパーソナルなAIネイティブOSを目指す第一歩と位置付け、ユーザー一人一人に適応する体験の実現を掲げている。
Essentialは、AIを活用してユーザーの要望を理解し、必要なアプリケーションを自然言語で生成できる点が特徴となる。例えば「カメラロールからレシートを取り込み、毎週金曜に経理に提出するPDFを作成する」や「音楽プレイリストに同期したムードトラッカーを作る」といった指示を与えるだけで、AIが自動的にアプリを構築する。これらの生成アプリはホーム画面に追加でき、従来のように画一的なアプリを選ぶのではなく、個々人の発想や生活に合った仕組みを用意できる。
同社は、従来のスマートフォンOSがビジネスの都合を優先し、ユーザーを硬直した仕組みに縛ってきたと批判。Essentialを通じてその枠を解き放ち、テクノロジーをよりパーソナルな存在に変えたい考えを示した。NothingのCEOカール・ペイ氏は「私たちはEssentialによって、旧来のエリート主義的なシステムを崩し始める。未来のソフトウェアは制限のないアクセス、多様な人々による協働、そしてハイパーパーソナライゼーションが基本になる」と述べている。
Essentialには2つの中核要素がある。1つは自然言語で瞬時に構築できる「Essential Apps」。もう1つは「Playground」と呼ばれる新しいプラットフォームで、ユーザーが生成したアプリや他のメンバーの作品を共有・リミックスできる場として機能する。従来のアプリストアの制約から解放され、誰もが自由に参加し、創作や利用を楽しめることを目指す。
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すでにα版では、コミュニティーメンバーによってメンタルヘルストラッカーや家族管理ツールなど数百種類のアプリが生まれている。開発=創作の担い手はプロの開発者だけでなく、具体的なニーズを持つ一般のユーザーへと広がり始めている。ソフトウェアがマスマーケットに向けた画一的な製品から、個人の発想や生活に根ざした小さな作品群へと変わる兆しが見えてきた。
Nothingは創業から5年で数百万台のデバイスを出荷し、売上は10億ドルを超えた。既存企業が支配する市場においても独立系ブランドが成長できることを示したとし、Essentialを通じてユーザー主導の新しいエコシステムを築く方針を示している。同社はハードとソフトの統合を重視し、スマートフォンをもっともパーソナルな情報を扱うデバイスとして位置付けたうえで、AIによる増強と支援を通じ、ユーザーが本当に重要なことに集中できる未来を描いている。
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