写真出会いがあれば、当然別れもあるということで……今回は愛するペットがきっかけとなった破局エピソードをご紹介しましょう。
◆大切なトイプードルと、結婚願望の強い彼氏
櫻井麗香さん(仮名・29歳/派遣社員)は婚活パーティーで知り合った正人さん(仮名・36歳/メーカー勤務)とお付き合いを始めました。
「偶然出身地が近くて、地元の再開発の話で盛り上がったのと、お互いに結婚願望が強くて子どもが好きという共通点があり、4回目のデートで正人さんから交際を申し込まれたんですよ」
そして麗香さんはペットであるトイプードルのナナちゃん(4歳)を溺愛しており、ナナちゃんを好きになり可愛がってくれる人というのが、お付き合いをする男性の条件だったそう。
「正人さんは犬を飼った経験がなく、ほとんど触ったこともないと言うので最初は心配していたのですが、いざ対面してみたらぎこちないながらもナデナデしてくれて、ナナもまんざらではない表情だったのが決め手になりOKの返事をしたんです」
そんな正人さんは、麗香さんの部屋に遊びに来る度に、ナナちゃんに犬用おやつやおもちゃを買ってきてくれました。
「まだ上手くコミュニケーションが取れない分、お土産を買ってくることでナナに愛情表現をしてくれているのかな? と嬉しくなりましたね。ナナも喜んで正人さんの手からおやつを食べるようになり順調に仲良くなっているなと思ったのですが……」
◆買ってきてくれたお土産を嫌がるナナちゃん
さて、いったい何が起こったのでしょうか?
「その日は正人さんがナナに麦わら帽子と青いスニーカーを買ってきてくれたんです。どちらもとっても可愛くて私が興奮してしまいましたね」
ですがいざナナちゃんに装着しようとしたら、暴れて嫌がったそう。
「今まで服は着せたことがあったのですが、帽子や靴は初めてだったので、小物類は苦手なのかも? と思いました。そして私がキッチンで洗い物をしていたら、ナナの鳴き声が聞こえてきたんです」
◆微笑みながら「とんでもないひと言」
気になり様子を見に行ってみると、麦わら帽子をかぶったナナちゃんが嫌そうに首を振っていて、隣にいた正人さんが「すごく可愛くない? これ安くはなかったし無駄にはできないよね」と微笑みました。
「どう見ても嫌がっているのに無理矢理なにやってくれてんだよ? と頭にきました。すぐにナナの帽子を脱がして『いくらしたの? お金なら払うし、とりあえず今日は帰ってもらえないかな』と言いました。そんな私の、怒りに震えて殺気立った感じが伝わったのか、正人さんは黙って帰り支度を始めたんですよ」
◆もし子どもができたらと思うと怖い
そして帰り際、正人さんが「またね」とナナちゃんの頭を撫でようと手を伸ばすと……。
「そしたらナナが尻尾を巻いて逃げて明らかに怯えていたので『あ、これはやっぱりかなり強引に押さえつけて帽子をかぶせたに違いないな』と思い、正人さんを帰らせた後にLINEで別れを告げたんです」
“せっかく買ってきた帽子や靴を喜んで身につけてほしい”という身勝手な思いを、力ずくでナナちゃんに押し付けるような正人さんの行動に、麗香さんはガッカリしてしまいました。
「ナナと信頼関係を築けない男性とお付き合いはできないし、きっと正人さんは子どもができても自分の感情を優先しそうで怖いなと思ってしまいましたね」
そして正人さんは、麗香さんからのお別れのメッセージを既読スルーし、その後何の連絡も来なかったそう。
「面倒臭いことにならなくて助かりました。ですがナナに悪いことをしてしまったので、当分男性を部屋に入れたくないですね」とため息をつく麗香さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop