最近よく聞く「残クレ」ってなに? 「カーローン」となにが違うの?

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2025年10月02日 07:00  ねとらぼ

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画像:写真AC

 今年の夏にSNSでアルファードの買取価格の暴落が注目を集めました。


【グラフ】買取各社のアルファード下落状況


 その一因と言われているのが「残価設定ローン(残クレ)」です。


 月々の負担を抑えられるため、多くの人が利用している制度ですが、なかには仕組みを勘違いしてしまっている人も少なくないようです。今回は「言葉くらいは聞いたことあるけど、正直よく分かっていない」という人へ向けて、残クレの仕組みやカーローンとの違いを解説します。


残クレとは「残価を設定したリース制度」

 残クレとは、車を購入する際にあらかじめ「将来このくらいの価格で下取りできるだろう」と想定される金額である「残価」を設定して契約する仕組みです。購入者はその残価を差し引いた金額だけを分割で支払うため、通常のカーローンより月々の負担が軽くなる、という特徴があります。


 そして契約満了時には、3つの選択肢から車をどうするかを選びます。


・乗り換え:現在の車を下取りに出して、新しい車に乗り換える。


・返却:車を販売店に下取りしてもらって、契約を終了する。


・購入:設定された残価を一括で支払うか、販売店の用意する再クレジット(分割払い)を組んで所有権を自分に移す。


残価は市場価値によって変わる


 契約時に設定される「残価」の金額は、車種やグレードによって変わります。特にアルファードのような中古市場で人気が高く、リセールバリューが期待できる車種は、残価が高く設定される傾向にあります。その結果、分割払いの対象額が少なくなり「高級車にお得に乗れる」というメリットが得られます。これまで、アルファードを残クレで購入する人が多かったのも、このメリットがあったからと考えられます。


残クレのメリット

 残クレの大きなメリットは、残価を設定することで、月々の支払いを大きく抑えられる点です。たとえば、車両価格が500万円で残価が150万円と設定された場合、分割の対象になるのは残りの350万円です。通常のローンで500万円を支払うのに比べれば、月々の負担は大幅に軽減されます。


 このとき設定された残価は、契約時に定めた条件を満たしていれば、しっかり保証されて減額されることはありません。仮に相場が暴落していても、残クレ終了時まで下取り価格が下がることはないため、具体的な資金計画も立てやすくなります。


ライフスタイルに合わせて買い替えも


 さらに、一定期間ごとに車を乗り換えられる柔軟性も見逃せません。たとえば、子どもが小さい時期はコンパクトなミニバンに乗り、成長してスポーツやアクティビティを楽しむようになったら、アルファードのような大型車に乗り換えるといった具合です。


 純粋にいろいろな車種に乗りたい人にとっても、残クレなら他の車種に乗り換えやすいため、大きな魅力になるでしょう。


残クレのデメリット

 一方、残クレの代表的なデメリットとして挙げられるのが、「残価が絶対に保証されるわけではない」点です。


 契約時に提示される残価は、あくまで「契約時に定めた条件を守った場合」にのみ適用されます。代表的な条件には「走行距離を一定以下にすること」「修復歴がないこと」などがあります。これらの条件を守らなかった場合は保証の対象外となり、下取り額が下がったうえで、その分の差額を支払う必要が出てきます。


 さらに、残クレ期間中は所有権が販売店にあるため、車の扱いにも制約がかかります。たとえば、カスタムや改造は基本的にNGです。


再クレジット(分割払い)にも注意が必要


 「残価を支払って購入する」という選択肢を選んだ場合も、大きな負担が伴います。残価は数百万円単位になるケースも多く、一括払いで対応するのは簡単ではありません。そのため、ほとんどの場合は再クレジット(分割払い)を利用することになりますが、これにも回数の上限が設定されています。


 たとえばホンダの場合、残クレ期間を含めて最長84回までとされています。仮に残クレで5年契約を選んで、期間終了時に購入を選択した場合、残り24回(2年)で残価を支払わなければなりません。もし、さらに長期での返済を希望するなら、別途ローンを組んで資金を用意することになります。


カーローンとの違い

 カーローンは、その名のとおり「購入」を前提とした制度で、車の代金を分割して支払っていく仕組みです。毎月の返済額は「車両価格÷返済回数」に利息を加えた金額となり、支払いが終われば、車は自分の所有物になります。


 残クレは「一定期間、車を利用する」のがメインの仕組みであるのに対し、カーローンは「車を所有するためのローン」という違いがあります。


 さらに、将来的に新しい車に乗り換える場合も、両者には大きな差があります。残クレは先ほどの説明のように、契約満了時に乗り換えを想定しているので、新車への移行をスムーズに進められます。一方、カーローンはすべての返済を終えて所有権を得てからでないと、下取りや売却に出せません。


残クレを使うときの5つのポイント

 残クレは上手に使えば便利な制度ですが、仕組みを誤解したまま契約すると、思わぬ負債を抱えてしまいかねません。特に注意するべきは、以下の5点です。


・残価保証の条件を正しく理解する。


・残クレはあくまでリース契約だと認識する。


・追加支払いが発生したときのために、資金には余裕を持っておく。


・下取りを当てにせず、身の丈に合った車種を選ぶ。


・購入前提ならカーローンを選ぶ。


 最も重要なのは、1つ目の「残価保証の条件を正しく理解する」です。保証されるはずの残価が適用されなくなると追加請求が発生し、いわゆる「残クレ地獄」になる恐れがあります。特にアルファードのような高級車では、その負担が大きくなるため、細心の注意を払いましょう。


残クレは「安くなる制度」ではない


 残クレは「車を安く手に入れる制度」ではなく、あくまでリース契約でしかありません。追加支払いが発生したときに備えて、資金に余裕を持つよう意識しましょう。「残価が高いから大丈夫」と背伸びをせず、無理なく返済できる車種を選ぶのが大事です。


 将来の購入を前提とするなら、残クレではなくカーローンを選んだほうが無難です。残クレは「一定期間だけ乗って手放す」乗り方に向いた制度で、購入して長く乗るのを前提とするなら、従来のカーローンのほうが合理的です。


 残クレをカーローンと同じ感覚で使うのはNGです。正しく理解して、便利で楽しいカーライフを送りましょう。



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  • 「更に残った最後の一個くれ」を略して「残クレ」
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