10月1日、Western Digitalが東京都内で記者会見を行い、同社CEOのアーヴィン・タンさんが今後の展望やジャパンカントリーオフィサーの着任、今後のロードマップなどについて語った。
●2027年までにHAMR技術を採用した44TB超のHDDを投入予定
冒頭、タンさんは「1970年の創業以来、さまざまなストレージ関連の製品や技術を提供しているが、日進月歩の業界で長生きしている企業は珍しい。以前はクライアントPCを中心にコンシューマー向けの製品が多かったが、今では大規模なデータセンターなどハイパースケーラー領域の売上が直近の第四半期で9割を占めるまでに至った」と説明した。
さらにNANDフラッシュメモリの登場以降、「一部で『HDDは終わった』という話が出て久しいが、現実は膨大なデータがAIによって新たな価値を生み出しており、2030年にはデータ量が今の3倍になるという予測も出ている。まさにデータは新しい石油となり、経済を回している」とした。
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そのような中でも、「ハイパースケーラー領域では現在、80%がHDD、10%がNANDフラッシュ、10%がテープという内訳だ。その理由は高い耐久性と信頼性、そして優れた総所有コスト(TCO)にある。HDDは容量あたりの消費電力が低く、今後もデータ増加の需要に応えるため、さらなる大容量HDDの投入を継続していく」と明らかにした。
現在、市場には32TBのHDDが出回っているが、タンさんは「2026年には36TB超、2027年には容量44TB超のHDDを投入していく」とロードマップを明かした。32TBや36TBのHDDにはePMR(エネルギーアシスト垂直磁気記録)技術を採用しているが、44TBモデルではHAMR(ハマー/熱補助型磁気記録)を導入するという。
加えて、「HAMR技術は1ドライブあたり100TBの容量を実現するポテンシャルがある。既に物理的な問題は解消の見通しが立っているが、ePMRが既存顧客から高い信頼性の評価を得ていること、信頼性と品質を維持しながら四半期に100万台ベースの製造/出荷できる体制を構築することに課題が移っている」(タンさん)として、当面はePMRとHAMRが共存していくとした。
●今後5年間で日本に10億ドル(約1500億円)を投じ研究開発を強化
続いて、タンさんから「日本のパートナーとの関係を強化するため、私の直下でカントリーオフィサーとして活躍してもらう」と紹介された高野公史さんが登壇した。
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高野さんは「日本の神奈川県藤沢市にあるHDD開発拠点には約1000人規模のR&Dセンターが存在する。IBMや日立製作所のDNAを受け継ぎ、消費電力を削減するヘリウム充填技術や工場の完全自動化(ダークファクトリー)など、業界標準となる革新的な技術を創出してきた」とし、「2025年度は国内のパートナーおよびサプライヤーに約15億ドル(2210億円)以上を取引する見込みだが、今後5年間で日本に10億ドル(約1470億円)を投じ、研究開発を強化していく計画だ」と見通しを語った。
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